3年間の新中期経営方針、施設や車両などに1148億円投資へ
セイノーホールディングス(HD)は5月21日、2020~22年度を対象とする新たな中期経営方針を取りまとめた。
この中で、「特積みのセイノー」から顧客の物流効率化まで踏み込んで支援する「ロジのセイノー」へ転換していく姿勢を強調。その一環として、輸送とロジスティクスの両機能を組み合わせ、顧客の物流効率化をサポートする「ロジ・トランス事業」を引き続き強化する方針を表明した。
具体策として、22年度までに同事業へ対応した機能を持つ物流拠点を国内計7カ所に開設し、22年度(23年3月期)に同事業で売上高640億円を達成するとの従来目標を堅持した。
併せて、他の物流事業者などと組み、貨物とトラックの空きスペースをマッチングするなどの「オープンプラットフォーム」構築を図ることを明記。無人搬送機とロボット運営システムの活用による業務のフル自動化実現なども列挙した。一連の施策を推進するため、3年間で施設や車両、システムなどに1148億3300万円を投資することを盛り込んだ。
ただ、22年度の業績目標に関しては、新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が混乱している状況を鑑み、開示を先送りした。
セイノーHDの重点戦略(同社中期経営方針説明資料より引用)※クリックで拡大
AI活用した配達コース組み自動化
国内輸送事業の施策として、ロジ・トランス事業拡充に加え、BtoB物流の効率化を明言。具体的には、20年度にワンストップで最適な輸送方法を提供する仕組みの構築など、21年度に地場の運送業者を巻き込んだマッチングシステムの構築など、22年度にAI(人工知能)を活用した配達コース組みの自動化と配達予定時間の提供などをそれぞれ進めるシナリオを提示した。
国際展開としては、20年度に東南アジア諸国(ASEAN)域内の拠点展開にめどを付けた上で、21年度に日本とASEANのネットワーク化を、22年度にはASEAN域内のネットワーク化をそれぞれ図り、国内外で連携して最適なSCMを提供できる体制を作り出すことを示した。さらに、3PLサービスも22年度に「世界につながる“SEINO”」となるべく、既存荷主の国際案件獲得や一貫輸送の提供などを図る姿勢を見せた。
グループで運営する物流施設については、自動運転やドローン(無人飛行機)、IoT(モノのインターネット)、AIなど先端技術を駆使し、機能を向上させることを理想像として掲示。トラックドライバー不足への対応としては、自律型評価や公募の導入・促進、福利厚生の充実、動画やSNSを活用した採用活動展開などに言及した。
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(藤原秀行)
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