25年までの実用化目指し技術開発後押し
日本財団は6月12日、無人運航船の実証実験を行うコンソーシアム(民間企業体)5組織を支援すると発表した。2021年度末まで実験を行い、25年までに実用化を目指す。
日本財団は19年から支援対象を募集していた。5つのコンソーシアムには計40以上の企業や団体が参加する予定。多様な技術駆使して船舶運航を無人化・効率化し、深刻な人手不足や船員高齢化に悩む海運業界の苦境を打開したい考え。
コンソーシアムの概要は以下の通り。
①スマートフェリーの開発(三菱造船、他1社)
大型内航フェリーの実際の航海で、離着岸を含む無人運航の実証に加え、将来の機関部故障予知実現に向けた監視強化の効果を確認する
②神奈川・横須賀の猿島で無人運航船(丸紅、他3社)
横須賀市の三笠桟橋〜猿島間の小型旅客船を実験船とし、既存の小型船を安く早く無人運航化できる技術を開発。広く小型船に適用可能な自動操船技術の実現を目指す
③無人運航船の未来創造~多様な専門家で描くグランドデザイン(日本海洋科学、他21社)
東京湾~苫小牧(予定)のコンテナ船を実験船とし、自動運航船分野で国際的にも豊富な実績を有する多彩な専門家集団が参加。無人運航船が支える新時代の国内物流社会の実現を目標としたオープンコラボレーションを実現する
④内航コンテナ船とカーフェリーに拠る無人化技術実証実験(商船三井、他7社)
コンテナ船とカーフェリーを実験船とし、自律運航を活用して、ヒューマンエラーによる海難事故の撲滅と船員不足常態化・船員高年齢化に対応するため労務負担の軽減に対応する技術の開発を目指す
⑤水陸両用無人運転技術の開発~八ッ場スマートモビリティ~(ITbookホールディングス、他4社)
八ッ場あがつま湖で、水陸両用車の自動運航を、オープンソースで開発。地上から入水し、水上を自動航行した後、上陸して地上に戻るルートを想定
(藤原秀行)