今月末に200台を割安販売開始へ、操作簡易化の独自開発プログラムもセットで提供
大和ハウス工業傘下で情報システム構築などを手掛けるモノプラスは、自律走行が可能なAI(人工知能)搭載の米国製多目的ロボット「temi(テミ)」の普及に注力している。物流施設など幅広い領域にtemiを投入し、施設内の案内や軽量物の運搬など人が手掛けている業務を代行する汎用型ロボットとして展開できるようサポート、新型コロナウイルスの感染拡大防止へ強く求められている人の密集回避に貢献したい考えだ。
保守などの料金をパッケージで月5万円台に設定
モノプラスは8月下旬、temi200台の販売を開始し、オフィスビルや工場、物流施設など多様な現場での利用を働き掛ける予定。モノプラスはtemiの操作を簡易化できる独自のソフトウエア「BuddyBot(バディボット)」も開発しており、ロボットとソフトウエア込みで提供することをイメージしている。
temi本体は当初の200台に関して一般的の販売価格より3割程度安い1台当たり39万8000円に抑えるほか、BuddyBotの使用料や保守費用などをパッケージ化して毎月総額5万円台で利用可能とする計画だ。
temiは米temi社が開発したロボットで、高さは約1メートル。基本性能としてレーザーやセンサーなどを駆使し、半径50メートル以内の地図を作成して自律走行するほか、テレビ電話などの機能も備えている。
モノプラスは大成建設と組み、名古屋市の名古屋大医学部付属病院内で今年8~10月の間、temiが集中治療室(ICU)内を巡回して患者の様子をカメラで確認、医師や看護師が急な症状悪化にも素早く対応できるようにしたり、来院した人を案内したりする実証実験を行っている。temiを医療現場の業務効率化につなげるのが狙いだ。
実証実験と併せて、モノプラスはtemiを一般に販売することで、実際にオフィスや物流施設などの現場に採用してもらい、来客を施設内の目的の場所まで誘導したり、書類やパンフレットといった軽い荷物を運んだりすることへの活用を促したい考えだ。同社は業務効率化と人同士のコミュニケーション促進のほか、新型コロナウイルスの感染拡大防止へ人の接触機会を減らすことにもつなげられると見込む。
BuddyBotはパソコンやモバイル端末からtemiの動作プログラムを容易に作成・修正できるのが特徴。モノプラスの秋葉淳一代表取締役はtemiとBuddyBotを組み合わせることで、まだまだ高額な産業用ロボットを購入しなくても業務用途でロボットを使えるようになるとメリットを強調。「さまざまなシーンでお使いいただくことにより多様なデータを蓄積し、今後の性能向上につなげていける」と期待を込めている。
(藤原秀行)