コロナ禍でも新規需要旺盛、上半期の純増分は最高記録
ジョーンズ ラング ラサール(JLL)は8月25日、2020年第2四半期(4~6月)の東京圏における物流施設市場動向の調査結果を公表した。
賃貸施設の期末平均空室率は0・6%で、前期(20年第1四半期、1~3月)から0・2ポイント、前年同期比では2・7ポイント下がった。5四半期連続で前期から下がり、過去最低水準を4四半期連続で更新。3四半期続けて1%台を下回り、新型コロナウイルスの感染拡大で国内外の経済情勢が悪化する中でも、先進的な物流施設への需要が依然旺盛なことを示した。
4~6月期の新規供給量は5棟、38万9000平方メートルに上り、ストックは前期比3%、前年同期比では21%拡大した。需要に関しては、ネットアブゾープション(純増分)が40万6000平方メートルに達し、上半期までで139万7000平方メートルと、半期ベースでは19年上半期を超える過去最大規模となった。
期末の坪当たり平均月額賃料(共益費含む)は4350円で、前期から0・2%下落、前年同期からは1・8%上昇した。前期比で下落したのは6四半期ぶり。JLLは「新規供給物件が相対的に賃料の安い内陸部に集中したことが下落につながった」と分析している。
今後の見通しについては「需要は堅調になると予想されることから、賃料は比較的安定的に推移する見通し。ただ、過去最高の供給を見ると、一部の内陸エリアは賃料の下押し圧力を受ける可能性がある」と展望している。
調査は東京、神奈川、千葉、埼玉の各都道府県と茨城県の南西部が対象。2000年以降に完成した延べ床面積5万平方メートル以上の先進的物流施設の稼働状況を集計した。
エリア別では、空室率は東京湾岸の「ベイエリア」(東京・大田区、江東区、横浜市、千葉県市川市など)が前期から0・3ポイント下がって0・0%。ほぼ空室がない状態となっている。「内陸エリア」(東京都八王子市、神奈川県厚木市、千葉県柏市、埼玉県川島町など)も0・1ポイント下落し1・0%だった。
(藤原秀行)