JUIDA・鈴木理事長が予想、きょう開幕の国際展示会でも初の専用展示スペース設置
ドローン(無人飛行機)に関する日本最大級の国際展示会「Japan Drone(ジャパンドローン)2020 ―Expo for Commercial UAS Market-」(主催・日本UAS産業振興協議会=JUIDA、共催・コングレ)が9月29日、千葉市の幕張メッセで開幕した。5回目となる今年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で当初開催を計画していた3月から延期し、会期も1日短縮して同30日までの2日間となった。出展は120社・団体を見込む。事前にジャパンドローンの公式ウェブサイトで来場の登録を受け付けている。
今回は初の試みとして、全長5メートル以上か自重が50キログラム以上の大型ドローンを展示した特別スペースを設置、国内外から計5機体がお目見えする。物流などで大規模なドローンへの需要が高まっていることに配慮している。
JUIDAの鈴木真二理事長(東京大名誉教授)はジャパンドローン2020の開催に先立ってロジビズ・オンラインのインタビューに応じ、「空撮やインフラ設備点検などはこれまでのドローンで可能だが、物流に関してはコストを下げるためには一度により多くの物を運ぶことが必要になってくるため、大型化も1つのテーマになるのではないか」と指摘した。
その上で、ラストワンマイルの宅配などより前の段階として、物流拠点間の物資輸送などに大型のドローンを投入することが検討されるとの見解を述べ、ジャパンドローン2020の会場で大型ドローン専用の展示スペースを設ける意義をアピール。「来場される方にもぜひご覧になっていただきたい」と呼び掛けた。
併せて、近年国内外で開発が進められている垂直離発着が可能な「空飛ぶクルマ」についても、人の輸送より先に物資の輸送で実用化されるとの見通しを示し、JUIDAとしてもドローンと同様に物流領域での活用実現へ注力していく姿勢を示した。
19年のジャパンドローン会場
鈴木理事長(19年撮影)
コロナ感染拡大下の活用事例など解説へ
会期中は他にも、先進的な機能を持つドローンに加え、高性能エンジンなど多様な機器を展示。ドローンを活用した物流や農業、インフラ点検などのソリューションも発表される見込みだ。
ジャパンドローンは毎年、ドローンに関する情報発信に注力しており、今年も有料セミナーを計10セッション準備している。さらに無料の基調講演では、初日にドローン業界に特化したドイツの調査会社Drone Industry Insights(ドローン・インダストリー・インサイツ)の創業者兼CFO(最高財務責任者)ヘンドリック・ボーデッカー氏がビデオ講演の形で登場。新型コロナウイルスの感染拡大下におけるドローン活用の事例などについて解説する。
2日目はNECのデータサイエンス研究所主任研究員の中台慎二氏が登壇。世界で展開されているドローンの運行管理システム「UTM(Unmanned Traffic Management)」に関するビジネスの実情などについてプレゼンテーションする。
特別講演では、災害時のドローン活用をテーマとしたパネルディスカッションや、ドローンと次世代高速通信規格5Gの活用にスポットを当てたトークセッションなどを準備している。
他にも、9月30日には無人航空機普及・利用促進議員連盟の会長代理を務める田中和徳前復興相が特別招待講演に参加し、「新しい時代に向けたドローンの利活用推進~福島ロボットテストフィールドについて~」をテーマに聴衆へ語り掛けることも決定した。
併せて、会場内では優れたドローンの製品やサービスを表彰する「Best of Japan Droneアワード」などのイベントも行い、ドローンの産業利用の機運を盛り上げていく予定だ。今年は会場に来られない人のために、初めてオンラインで講演などを視聴可能にしている。
19年のジャパンドローン会場
(藤原秀行)