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【独自取材】倉庫スペース以外へのマッチングサービス拡大に意欲

【独自取材】倉庫スペース以外へのマッチングサービス拡大に意欲

souco新COO ティエンテック・ティオ氏独占インタビュー(前編)

倉庫の空きスペースと保管を希望する荷物のマッチングサービスを展開しているスタートアップ企業soucoのCOO(最高執行責任者)に9月1日付で就任したシンガポール出身でヒューレットパッカード(HP)やDHLサプライチェーンなどに在籍したティエンテック・ティオ氏はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

同氏はsoucoの招きに応じた理由として、同社が物流業界の業務効率化や生産性向上に貢献可能なビジネスモデルを構築できている点に着目したと説明。倉庫スペース以外の領域にもマッチングサービスを拡大していくことに強い意欲を見せた。

インタビューに同席した同社の中原久根人CEO(最高経営責任者)はティエンテック氏を起用したことに関し、マッチングサービスが順調に伸びる中で今後輸配送などの領域もカバーしていくために物流業界の知見を持つ人材が必要だったと指摘。新たな経営体制で一段の成長を目指していく姿勢をアピールした。インタビュー内容を前後編の2回に分けて紹介する。


インタビューに応じるティエンテック・ティオ氏

物流スタートアップで9年間活躍

――まずマッチングサービスの現況を教えてください。
中原氏
「登録しているアカウントは1500を超えました。1000社を上回ったあたりからコンスタントにマッチングが成立するようになってきています。新型コロナウイルスの感染拡大下ですが、出荷できなくなった商品の置き場所確保に加え、マスクなどの需要が伸びたことが当社のマッチングサービスにとってはプラスとなっています。サービスの認知が進んだおかげで、ありがたいことに、そうした荷物を保管する緊急手配先として当社を選んでいただくケースも着実に増えています。登録している倉庫スペースの数が拡大したことで、ほぼお客さまの需要に合った倉庫スペースをご紹介できるようになりました」
「EC事業者の方々の入出荷業務を包括的にサポートする『FillGo(フィルゴ)』も今年5月のスタート以降、順調に利用が増えており、月間1万5000件の出荷取り扱いとの目標も前倒しで達成できそうです。新商品発売で一定期間だけ需要が伸びるのでその瞬間だけサービスを使いたいといったニーズもあります」

――このタイミングでティエンテック氏をCOOに招聘した理由は?
中原氏
「業務面で倉庫のマッチングからさらに深堀りしたサービスができないかとお客さまからご要望をいただいています。例えば倉庫の前後にある輸配送の部分などです。現状ではロジスティクスに詳しい人間がマネジメント層にいないため、そうした需要に応えていくには物流の経験をされた方の知見が必要だと感じていました。ご縁があり、ティエンテック氏と今年7月ごろに初めて面会し、ぜひこういうキャリアをお持ちの方に来ていただきたいと感じました」

――DHLサプライチェーンなど物流業界に来られる前には、ヒューレットパッカードに在籍されています。製造業の経験もお持ちなのですね。
ティエンテック氏
「その通りです。製品開発などの部署に配属され、仕事をしていました。この間、工場の方々ともいろいろなやり取りをしました。当時はまだサプライチェーンという言葉がそれほど現場にも浸透していなかったころですが、メーカーが3PL事業者に物流業務を委託する際、倉庫スペースは何千坪、庫内作業員は何十人といったように、扱う物量の変動にかかわらず固定で依頼しており、3PL事業者の側にも業務の改善、生産性向上といった意識があまりなく、固定で料金を支払ってもらえるから固定でサービスを提供し続けるような状態でした」

――そうした中で、1997年に物流のスタートアップ企業に参加されましたが、そのきっかけは何だったのでしょうか。
ティエンテック氏
「われわれは工場の中で、継続的に業務改善や生産性向上に取り組んでいましたから、物流にもそうした考え方を生かすことができました。無駄を絞り、倉庫スペースや人員を必要最低限にするノウハウを活用すれば、メーカーにとっては料金が固定から個建てとなり、サービスを使った分だけ支払う形のため非常に都合が良い。結構面白いビジネスチャンスだと感じ、スタートアップ企業の立ち上げ当初から参加しました」
「スタートアップ企業に9年間在籍した中で徹底的に3PLのビジネスモデルを研究し、さまざまなメーカーの物流部門にサービスを提供してきました。物流にとどまらず、調達分野でも部品ごとのリードタイムを考慮し、われわれのシステムで自動計算して欠品しないよう効率的に発注するといったサポートを提供していました」
「他には、4万パレット分の商品を保管できる自社倉庫を開発しました。もちろん当時は現在のような物流ロボットはありませんでしたから、大型クレーンでパレットを移動させる仕組みでした。自社倉庫を活用して保管や入出荷の効率化にも貢献できました。また、メーカーが生産拠点を中国にどんどん移していたころでしたから、当社も中国に子会社を立ち上げ、工場をシンガポールから中国へ移転したいとのご要望があれば現地での工場開設まで一緒にお付き合いしていました」

――まさにSCMを先駆的に体現していた感じですね。
ティエンテック氏
「そうですね。今では当たり前となったサプライチェーン全体にわたるソリューションをデザインすることを手掛けていました」


取材に応じる中原CEO

壁を乗り越えれば需要は広がる

――DHLサプライチェーンに移られた経緯は?
ティエンテック氏
「スタートアップ企業が2000年から米ライダーの傘下に入り、いろいろな経験をしてきました。その中で、シンガポールよりもっと大きな市場で、何千人もの従業員を管理する企業に興味を持ちました。スタートアップ企業で経験したのとは荷量もオペレーションの複雑さも全く異なります。そこでさまざまな大企業を探した結果、当時はDHLサプライチェーンの前身のエクセルでしたが、キャリアを気に入っていただけました」
「DHLサプライチェーンは非常に大きな企業で、新しい技術を積極的に投入しています。倉庫内のロボットも導入していますし、無人フォークリフトの実証実験も展開しています。さらに、日本ではトヨタ自動車のカイゼンの手法を研究し、業務改善へ徹底的に取り組んでいます。私自身も相当、改善の提案をしてきましたし、従業員の皆さんへの指導も担いました。『改善はどんどんやってください』と言い続けてきました」

――soucoに移ろうと決意された背景は?
ティエンテック氏
「全く新たなやり方で、倉庫スペースという以前から存在しているニーズを満たしていることに関心を持ちました。物流施設は従来、物量のピーク時を想定して設計、運用するのが標準的なモデルでしたが、このモデルも時代とともに変化しつつあります。ピーク時の需要に合わせたのでは非常にスペースの無駄が生じてしまいます。近年はECの利用が増加していますから、物量の動向の予想を立てるのはさらに難しくなっています。お客さまがいつ何を欲しがるのかがなかなか読めません。それだけに、倉庫スペースの需要予想も一段と困難になってきています」
「そうした場合は、やはりsoucoのように短期のスペース貸し出しをマッチングできることがこれからの物流業界にとってすごく必要なことだと感じました。倉庫事業者としても空きスペースを有効活用してもらえるのは収益にも非常にプラスとなります。エコやサステナビリティーが重視される現在の潮流にsoucoのビジネスモデルがマッチするのではないか。まさにウーバーのように、壁を乗り越えれば本当に需要は広がっていくと思います」

後編:物流の知見をユーザーと共有できる仕組み構築を提案

(本文・藤原秀行、写真・中島祐)

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