伝票作成せず匿名、1件当たり期間限定で実質180円に
フリーマーケット(フリマ)アプリ大手のメルカリと日本郵便は11月4日、フリマで売れた商品を発送する際に利用できる配送サービス「ゆうゆうメルカリ便」に関し、新たに郵便ポストから発送可能な「ゆうパケットポスト」の提供を同日開始すると発表した。
専用箱に商品を入れ、メルカリのアプリで貼られている2次元コードを読み取って投函すれば伝票を作成せず、匿名で発送を完了できる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「非対面」の発送ニーズが高まっていることに対応する。
専用箱はサイズが縦32・7センチメートル、横22・8センチメートル、厚さ3センチメートルで重さは2キログラムまで。全国約1100の郵便局やローソンとセリアの店舗で1枚当たり65円で販売している。メルカリストアは5枚300円で取り扱う。
利用の際は専用箱の代金に加え、利用料が1件当たり200円掛かるが、2021年4月末まではキャンペーンとしてメルカリで20ポイントを付与するため、実質的に180円となる(価格はいずれも税込み)。
両社はこれまでにも、コンビニで専用の発送用梱包資材を販売したり、郵便局の宅配ボックスで発送を受け付けたりするなど、発送の手間軽減を図ってきた。郵便ポストから商品を発送できるようにし、フリマをより利用しやすくなる環境を整えるのが狙い。両社は今後1年間でゆうパケットポストを使った配送を1000万件まで伸ばすことを目指している。
東京都内で同日記者会見したメルカリの田面木宏尚上級執行役員(メルカリジャパンCEO=最高経営責任者)は「これからも日本郵便と連携し、より身近で便利なサービスを提供していく。安心・安全なマーケットプレイスを運営できるよう、社会のニーズにも応えていきたい」と説明。
日本郵便の諌山親副社長は「コロナ感染症に端を発した新たな社会様式への対応が社会的にも求められている」と非対面型の配送サービス提供の意義をアピールした。
メルカリの石川佑事業開発マネージャーは「当社としてもフリマサービスの成長に伴い、商品配送の件数増で負荷が高まっているとの認識がある。15万カ所のポストをタッチポイントとして活用することでそうした問題を解決し、お客さまの体験を改善するとともに、新たなお客さまが見込めるようになる」と狙いを強調。
日本郵便の堤貴志郵便・物流営業部課長は「ポストネットワーク維持はわれわれのミッションだと思っているので、このインフラを活用したサービス開発を続けていきたい」と語った。
「ゆうパケットポスト」のイメージ(以下、いずれもメルカリ提供)
「ゆうパケットポスト」利用のイメージ(メルカリ提供)※クリックで拡大
(藤原秀行)