JLL調査、5四半期続けて過去最低更新
ジョーンズ ラング ラサール(JLL)が11月26日発表した2020年第3四半期(7~9月)の東京圏における物流施設市場動向の調査結果によると、賃貸施設の期末平均空室率は0・1%で、前期(20年第2四半期、4~6月)から0・5ポイント、前年同期比では1・9ポイント下がった。
6四半期連続で前期実績から低下し、過去最低水準を5四半期続けて更新。1%を下回ったのは4四半期連続で、調査結果上はほぼ空室が存在しておらず満室の状態になっている。新型コロナウイルスの感染拡大で国内外の経済情勢が悪化する中でも、先進的な物流施設への需要が依然活発なことを裏付けた。以前より需要が多い湾岸エリアに続いて内陸部でも空室を見つけるのが難しい状況になってきているようだ。
7~9月期の新規供給量は3棟、31万9000平方メートルで、ストックは前期比2%、前年同期比では18%拡大した。需要に関しては、ネットアブゾープション(純増分)が38万2000平方メートルで、第3四半期までの累計は177万9000平方メートル。19年の同時期(183万平方メートル)とほぼ同水準に達している。
期末の坪当たり平均月額賃料(共益費含む)は4341円で、前期から0・2%下落、前年同期からは1・4%上昇した。前期比で下落したのは2四半期連続。JLLは「新規供給物件が相対的に賃料の安い内陸部に集中したことが下落につながった」との見方を据え置いた。
今後の見通しに関しては「賃料水準が比較的低いサブマーケットでの新規供給による賃料下押し圧力があるものの、土地価格の高騰による賃料上昇圧力が上回り、平均賃料は上昇する見通し」とみていいる。
調査は東京、神奈川、千葉、埼玉の各都道府県と茨城県の南西部が対象。2000年以降に完成した延べ床面積5万平方メートル以上の先進的物流施設の稼働状況を集計した。
エリア別の空室率は、東京湾岸の「ベイエリア」(東京・大田区、江東区、横浜市、千葉県市川市など)が前期と同じ0・0%。「内陸エリア」(東京都八王子市、神奈川県厚木市、千葉県柏市、埼玉県川島町など)は0・8ポイント下落し0・1%だった。
(藤原秀行)