300億円の緊急支援円借款を検討
茂木敏充外相は12月13日、モーリシャスを訪問し、プラヴィン・クマール・ジャグナット首相、ナンドクマール・ボダ外相と相次ぎ会談した。日本の外相がモーリシャスを訪れるのは初めて。
茂木外相はジャグナット首相に対し、今年8月に同国沖合で起きた大型貨物船の座礁で重油が大量に漏れ出した事故を受け、同国の経済回復・成長支援へ速やかな財政支援を進めるとともに、事故の再発防止へ海上航行監視を支援する無償資金協力を準備していることを説明。さらに、2021年2月に日本から投資促進・官民合同ミッションの派遣を検討している旨を表明した。ジャグナット首相は謝意を示した。
ボダ外相との会談で茂木外相は「日本として、中長期的な視点からモーリシャスの経済回復に向けて、引き続き民間とも連携しつつ協力を続けていきたい」と説明。ボダ外相は感謝の意を表明するとともに、モーリシャス経済の回復・発展に向け、日本とのビジネス関係強化への期待を示した。
茂木外相は会談後、貨物船が座礁した海域を海岸から視察。船尾の3分の1程度が残っている現状を確認した。視察に同行したスディア・モドゥー海運相は「事故直後には油が漂着し、被害を受けていたが、日本を含む各国の援助隊の活動やモーリシャス政府、市民の取り組みもあり、現在では油の除去が相当のレベルまで進んでいる」と説明した。
茂木外相はオンラインで開いた記者会見で、モーリシャス政府から300億円の緊急支援円借款の要請を受け、前向きに検討していく考えを強調した。茂木外相は「これまでにない規模、スピードで協力を着実に具体化していきたい」と述べた。
ジャグナット首相を表敬訪問する茂木外相(以下、いずれも外務省ホームページより引用)
ボダ外相と会談する茂木外相
事故エリアを視察する茂木外相
(藤原秀行)