米C&Wリポート、バイオ医薬品ブームなどで需要増
米不動産サービス大手のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は12月24日、「アジア太平洋地域のコールドストレージ物流」と題するリポートを公表した。
新型コロナウイルスの感染拡大に対抗するためのワクチン開発に伴い、低温で温度管理が可能な物流の需要が高まると指摘。「世界中でコールドストレージ(低温倉庫)の需要が持続していく」との見方を示し、低温倉庫が有望な投資先とのスタンスをアピールした。
リポートは「世界の製薬会社は(製品の)ポートフォリオと(製造の)優先順位を、多くの疾患の治療に革命をもたらした生体成分から作られたバイオ医薬品にシフトしている。このようなバイオ医薬品のブームは、需要を満たすためにコールドチェーン輸送と包装への支出が増加していることを意味している」と分析。低温倉庫のニーズを高めているとの見解を表明した。
また、冷蔵倉庫のテナントは倉庫自体が不足している上に、特定の要件に合わせて改装する必要があるため、賃貸借期間がドライ倉庫より長くなる傾向にあると説明。「冷蔵倉庫の典型的な賃貸借期間は10~20年であり、例えばシンガポールでは従来のドライ倉庫がわずか3年であるのに比べて大幅に長い」と言及した。契約を更新する割合も従来の物流施設より高いことを紹介した。
アジア太平洋地域の低温倉庫のストックは欧米より限定的であり、同地域が都市人口1人当たりの冷蔵能力を米国並みにするためには、新たに4億1100万立法メートルの供給を追加する必要があり、「既存のストックのほぼ2倍」に達すると強調した。
C&Wシンガポール・東南アジアのクリスティン・リー・リサーチ統括部長は「このセクターは、現在は新興でニッチなセクターと見られているが、今後数年で変化し、主流のセクターへと変貌していくことが期待される。選択型アセットクラスの希少性を考えると、需要が供給を上回る可能性が高く、賃料上昇の可能性が高い。そのため、このセクターが主流になる前に市場に参入した投資家は、より高いキャピタルゲインを得ることを期待できる」と解説した。
(藤原秀行)