今日(1月7日)正式決定、期間は1カ月も延長の可能性
※末尾のスケジュールを一部修正しました
政府は1月7日、新型コロナウイルスの感染拡大が続いている首都圏の1都3県を対象に、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発令する方針を正式決定する。
同宣言を出すのは2020年4月に次いで2回目。今回は1都3県が実施する対策として、飲食店への営業時間短縮や、住民への夜間の不要不急の外出抑制を要請することなどが柱となる見込み。期間は2月7日までの1カ月を想定している。
同宣言は物流の領域に直接的に大きく影響する要素を含んでいる。同法は医薬品や医療機器の製造、電気・ガス・水道の供給といった公益的な事業を営む法人を「指定公共機関」と定め、緊急時には感染拡大防止の対応に協力することを義務付けている。この中には医薬品や食料など物資の確実な輸送を担保するため、大手運送会社など主要な物流関連企業26社も加わっており、国や対象地域の都道府県知事は緊急物資の運送を要請することが可能だ。
指定公共機関に含まれる物流関連企業は既に対応の方針を策定済み。同宣言が出れば社内に統括本部を立ち上げ、貨物運送を適切に進めることなどを決めている。併せて、都道府県は各地のトラック協会などを「指定地方公共機関」に指定していれば、やはり知事から緊急物資輸送の要請が可能。
前回に同宣言が出た期間中、国や都道府県が指定公共機関の物流関連企業に緊急物資の運送を公式に要請したケースはなかった。今回も現時点で物資輸送に支障を来すほどの混乱には至っていないため、運送要請の可能性は大きくないとみられる。
また、昨年の同宣言発令のころには、トイレットペーパーやティッシュ、マスクなどの買い占めが起こり、イレギュラーな物流が生じるという間接的な影響が長引いた。今回は2回目の発令ということもあり、買い占め行為は目立っていないため、総じて同宣言発令が物流に及ぼす影響は限定的になりそうだ。
ただ、昨年の発令時より新規感染者数が増加するなど事態は切迫しており、流動的な要素も残っている。飲食店の営業自粛に伴う物量の減少が懸念される一方、インターネット通販の利用増加による物流現場の負担拡大も予想され、オペレーションの自動化・省人化に拍車が掛かりそうだ。
政府は同宣言の再発令に当たって、解除する条件を明示する方向だ。専門家らが設定している感染状況4段階の中で最も深刻と設定している「ステージ4」から、新規感染者数などの状況を踏まえて脱却したと確認できた場合になるもよう。政府の分科会の尾身茂会長は1月5日の記者会見で、1段階低いステージ3まで状況が緩和するには「1カ月未満では至難の業」との見解を示しており、同宣言の解除は1カ月からさらに長い期間を要する恐れがある。
★緊急事態宣言発令までに見込まれる流れ(時間などは変わる可能性があります)
①(1月7日午前)
政府が専門家らの諮問委員会を招集、改正特措法で宣言発令の条件に設定している「国民の生命、健康に著しく重大な被害を与える恐れがある」「全国的で急速な蔓延により国民の生活・経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある」の要件を満たしているかどうかを正式に諮問
②(午後)
委員会が適当と判断すれば、政府が衆参両院の議院運営委員会で想定している宣言の期間や対象エリアなどを報告、質疑
③(夕方)
菅義偉首相が政府の対策本部で宣言の発令を表明。終了後に記者会見し、国民に宣言発令の背景などを説明
④(夜)
政府が官報で宣言の発令を公示
⑤(1月8日午前0時の見通し)
宣言が効力を発生
⑥(1月7~8日)
対象の1都3県が飲食店への営業短縮要請などを決定、実施へ
(藤原秀行)