日立物流・中谷社長「アジア圏で3PLのリーディングカンパニー目指す」と表明、マースクと提携発表★詳報

日立物流・中谷社長「アジア圏で3PLのリーディングカンパニー目指す」と表明、マースクと提携発表★詳報

インドなどアジアでセンター整備へ90億円投資と説明

日立物流の中谷康夫社長は4月28日に開催した2021年3月期決算の電話会見で、21年度(22年3月期)が最終年度となる中期経営計画「LOGISTEED2021」の進捗状況について説明した。この中で、デンマークの物流大手A.P.モラー・マースクと業務提携したことを明らかにした。

海外の大手物流企業と提携したのは今回が初めてという。まず日本国内でマースクの顧客向けに輸配送や倉庫管理など3PLサービスを提供する予定。マースクとIBMが構築を進めている貿易情報管理システム「TRADELENS(トレードレンズ)」と、日立物流が注力しているサプライチェーン運営最適化支援サービス「SCDOS」を組み合わせ、荷主企業の物流効率化やサービスレベル向上に貢献していくことも想定している。

中谷社長は「次期中期経営計画に向け、アジア圏で3PLのリーディングカンパニーを目指す」と表明。マースクと連携し、将来は協力関係をアジアにも拡大していきたいとの思いを語った。

日立物流で海外事業を統括する神宮司孝副社長は「マースクのネットワークはワールドワイドに広がっているし、日本法人はアジア全体を見る形になっている。当社のネットワークとマースクのネットワークが結び付けば、われわれのビジネスは東南アジアに進んでいく」と展望した。

国内は既存施設にEC用スペースを積極開設

中谷社長はまた、海外事業拡大のため、21~23年度に物流施設などへ120億円超を投資する方針を示した。米国で自動車関連センター、オランダで既存センター増強、中国で自動化・省人化設備導入などを予定しているほか、インドとマレーシア、インドネシアでも積極的に投資する計画に言及した。

インドはマルチ物流センターが22年7月に稼働開始する予定で、マレーシアはチルド倉庫が23年4月に稼働をスタートする計画。インドネシアは既存センターを増強、23年4月に運用が始まるという。

中谷社長は「昨年にインド・チェンナイで既に1棟建設している。120億円のうち3分の2に相当する90億円程度をアジアに投資する。まさにアジアで自分たちの物流センターを展開していく道筋を付ける」と解説。新型コロナウイルスの感染拡大下でもアジアで3PLやコールドチェーン物流のニーズが見込めると前向きな見方を表明した。


海外での投資計画(日立物流資料より引用)

一方、中谷社長は日本国内の物流センターについて「大型物流センターのリニューアル、スクラップ・アンド・ビルドも考えている。22年度以降に国内の拠点は大きく変わってくる」と言及。ECの物流需要増加への対応としては「ECプラットフォームセンターを単独で整備するのも重要だが、既存の物流施設にEC用のスペースをどんどん作る計画を進めていく。ECを絡めた自動化は相当進めている」と明らかにした。

林伸和執行役専務は、21年度に関西地区で物流センターや危険物倉庫の開発を計画していると述べた。

(藤原秀行)

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