ENEOSとトヨタ、実験都市「ウーブン・シティ」で物流車両の燃料電池化など水素エネルギー活用の具体的な検討開始へ

ENEOSとトヨタ、実験都市「ウーブン・シティ」で物流車両の燃料電池化など水素エネルギー活用の具体的な検討開始へ

「カーボンニュートラル」実現への貢献目指す

ENEOSは5月10日、トヨタ自動車が静岡県裾野市で建設を進めている、自動運転などの先進技術を導入、実用化を図る巨大な実証都市「Woven City(ウーブン・シティ)」 で水素エネルギーの活用について具体的な検討を進めることで基本合意したと発表した。

両社は、トヨタの子会社でソフトウエアを中心としたさまざまなモビリティーの開発を担うウーブン・プラネット・ホールディングスとともに、水素を「つくる」「運ぶ」「使う」という一連のサプライチェーンに関する実証をウーブン・シティとその近隣で行い、日本や世界の多くの国々が宣言している、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」実現への貢献を目指す。

ENEOSは4大都市圏において商用水素ステーションを45カ所展開する、水素事業のリーディングカンパニー。本格的な水素の大量消費社会を見据えたCO2フリー水素のサプライチェーン構築や水素製造に関する技術開発にも取り組んでいる。

トヨタは、水素を将来の有力なクリーンエネルギーと位置付け、乗用車から商用車、産業車両、鉄道、船、定置式発電にいたるまで多様な用途での水素と燃料電池(FC)技術の開発・普及に取り組んでいる。

両社は今後、以下の4項目において、具体的な検討を進めていく予定。
(1)ENEOSによるウーブン・シティ近隣での水素ステーションの建設・運営
(2)ENEOSが上記水素ステーションに設置した水電解装置で再生可能エネルギー由来の水素(グリーン水素)を製造し、ウーブン・シティに供給。トヨタが定置式FC発電機をウーブン・シティ内に設置し、グリーン水素を使用
(3) ウーブン・シティおよびその近隣における物流車両のFC化の推進とFC車両を中心とした水素需要の原単位(※)の検証およびその需給管理システムの構築
(4) ウーブン・シティの敷地内に設置予定の実証拠点における水素供給に関する先端技術研究
※技術やサービスが実用性のある事業として成立する基準

※以下、プレスリリースより引用

ENEOS・大田勝幸社長
「街全体で未来の技術を実証するトヨタの構想に強く共感するとともに、ウーブン・シティプロジェクトに参画できることを大変嬉しく思います。世界規模でカーボンニュートラルに向けた動きが加速する中、水素エネルギーはその実現の切り札として期待されています。今回、水素社会の形成をリードするトヨタとともに、人と水素が共存する新しいライフスタイルの創出につながる実証を進めていく意義は極めて大きいと考えます。両社でウーブン・シティが目指すコンセプトを世界に発信することで、エネルギーの新たな未来が拓かれることを切に願っています」

トヨタ・豊田章男社長
「日本を代表する『総合エネルギー企業』として水素の製造から販売まで一貫して取り組まれているENEOSをコアパートナーに迎え、ウーブン・シティでの水素社会実証を行えることを大変嬉しく、心強く思います。水素社会の実現に向けては、個々の技術の進化に加えて、『つくる』『運ぶ』『使う』という全てのプロセスをつなげて取り組むことが欠かせません。
今後ENEOSと一緒に、ウーブン・シティというリアルな場で『ヒト中心』に、地域とともに、水素を使った暮らしの在り方や技術を検証し、その原単位を日本全国や世界に展開できるよう、取り組んでまいります」

(ロジビズ・オンライン編集部)

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