政府、民間企業と作業部会を近く設置、法整備の内容など詰めへ
政府は2025年の開催を予定している日本国際博覧会(大阪・関西万博)で、垂直に離発着し滑走路が不要な「空飛ぶクルマ」をお披露目することを検討している。大阪市内と会場の間を旅客輸送することなどを想定している。
万博を所管する経済産業省や航空領域を管轄する国土交通省などが、空飛ぶクルマの開発を手掛けている民間企業などと近く作業部会を立ち上げ、大阪・関西万博での空飛ぶクルマ公開へ必要な法整備の内容などを詰める作業に着手する準備を進めている。世界から人が集まる場で日本製の空飛ぶクルマをアピールするとともに、空飛ぶクルマの有用性を訴え、国内での開発を加速させることを狙っている。
政府は2023年以降、空飛ぶクルマが荷物や旅客の輸送などに順次使われていくことを想定。荷物輸送は定期便や定期運航でスタートし、30年ごろ以降は「オンデマンド運航」も始めるとの将来像をイメージしている。
目標の達成に向け、作業部会では空飛ぶクルマの細かな定義を議論するほか、飛行可能な高度や場所、離発着場の設置条件、載せられる人数や荷物の重量など運航のための具体的なルールを協議する見通し。作業部会の結論を踏まえ、経産省や国交省などが関連法令の整備・改正を図る。
空飛ぶクルマに関しては、スタートアップ企業のSkyDrive(東京都新宿区大久保)が昨年10月にモデル機体を初めて一般公開。海外でもドイツのボロコプターが日本航空(JAL)や三井住友海上火災保険と連携し、空飛ぶクルマのeVTOL(電動垂直離着陸機)を使った輸送サービスを日本で展開することを目指すなど、実用化・普及への取り組みが広がっている。
SkyDriveの空飛ぶクルマモデル機(同社提供)
(藤原秀行)