関西物流展、初日から盛況
300超の企業や団体などが参加し、6月16日に大阪市内で開幕した物流に関する西日本最大の展示会「第2回関西物流展」。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下でも、“ウイズコロナ・アフターコロナ”に対応すべく、物流ロボットなど新たな技術やソリューションに接しようと多くの物流業界関係者らが会場に詰め掛け、初日から盛況だった。
物流業界関係者らが数多く参集した会場
AMRなどの新モデルが続々登場
中国系のロボットメーカー、シリウスロボティクスの日本法人シリウスジャパンは9月から量産を予定しているAMR(自律移動ロボット)の新モデルを公開した。積載可能な荷物の高さを現状より25センチメートル上げ、より多くの荷物を運べるようにして多様な使い方に対応可能にしている。
刷新したピッキングシステムの管理画面も披露。ロボットの移動を把握できる上、時間ごとのピッキング量や商品別・ロケーション別のピッキング数のログをグラフで表示するなどの機能を追加し、利便性がアップしていることをアピールしていた。
サトーはZMPの自動搬送ロボット「CarriRo(キャリロ)」にRFIDリーダライタを搭載したソリューション「CarriRo+RFID」を初出展。人がいない夜間などに自動で庫内を走行し、棚卸しすることを想定している。
シリウスジャパンのAMR新モデル
「CarriRo+RFID」
ドイツのスイッチメーカー「.steute」の日本法人は、社内物流を効率化するソリューションを出展。部品を組み立てる現場で、作業者の周りに置いている部品容器の残量確認を目視からセンサーに切り替え、補充担当者に自動で通知を送るシステムを紹介した。
GROUNDは6月15日に発表したばかりの物流施設統合管理・最適化システム「GWES」を展示。ダッシュボードで庫内作業の進捗が計画からどの程度遅れているかを早めにキャッチし、迅速に人員再配置などの対応を取れるようサポートできることなどをデモで示していた。
2018年に名古屋で発足したスタートアップのLOZIは、生産から購入した消費者の手に渡るまで、サプライチェーンの中でさまざまな事業者を経由する中でも当該製品を1つのQRコードで管理する「SmartBarcode」システムを開発。製品に貼付した「子バーコード」とケースやパレットに取り付けた「親バーコード」を連続で読み取ることで両社を紐付け、親バーコードの読み取りのみで子バーコードの情報を更新する仕組みも発表している。
運送事業者の業務効率化支援を手掛けるスタートアップ企業のAzoop(アズープ)は配車計画から請求書発行までワンストップで行える業務支援システム「トラッカーズマネージャー」を展示。配車担当者の人手不足や波動対応の難しさから熟練の配車担当に頼らないシステムへのニーズが増えているという。
「GWES」のイメージ
大型ファンや3Dソフト、増設トイレなど独自展示
自動化機器以外にも、現場の環境を向上させるための多様な切り口の展示が随所に見られた。店舗什器の設計・製造や物流機器のレンタル・販売などを手掛ける五常(千葉市)は、倉庫向けの大型ファンも取り扱っており、夏に向けて熱中症予防の新製品を出展。休憩場所などへの設置を想定した新しいデザインのファン「SMILE FANS Tree」が来場者の目を引いていた。
メガソフトは設計の専門知識を持たない営業担当でも使いこなせるよう配慮した倉庫向けソフト「物流倉庫3D」を紹介。配置する機器を倉庫の間取り図にマウスでドラッグ&ドロップして平面図を容易に作成できるほか、簡単な操作で作成した平面図を3Dに変換できるのが特徴。WMS(倉庫管理システム)と連携、配置した機器の情報を反映することも可能という。
「SMILE FANS Tree」
「物流倉庫3D」
LIXILは昨年春に販売を開始した、物流倉庫や工場などに後付けで設置できる可動式トイレ「withCUBE」を展示。併せて、よりシンプルな設備でコストを抑えて使用できる新たなベーシックシリーズを初披露した。withCUBEは事前に給排水・電気の工事を施した上で、本体の設置自体は最短1日で済ませられるため、現場のオペレーションを継続できるのがメリット。レンタルやリースの形のため初期費用も低減できる。
最近は物流施設で女性用トイレを増設したいというニーズが多く、古い倉庫では雇用確保のための環境改善の目的でトイレ改善の相談が寄せられるケースも多いという。同社の担当者は「トイレは最初から備え付けるのではなく、マテハンのように使い方に応じて柔軟に設置するという考え方に徐々に変わっていくのではないか」と予想している。
LIXILのブース
「withCUBE」
一部展示にコロナ禍の影響
物流施設関係では、東急不動産は6月末に完成予定の「LOGI’Q(ロジック)京都久御山」(京都府久御山町)を紹介。24時間稼働が可能な工業専用地域にありながら住宅街に近く、3駅からバスでアクセスが可能でスタッフも働きやすいことなどを訴えていた。
三菱地所は傘下の東京流通センターに開設した最先端の物流テックを取り扱うショールーム「TRC LODGE」を紹介。シーアールイー(CRE)も物流施設の開発から管理までトータルで入居企業をサポートできる体制をPRした。
一方、プロロジスや大和ハウス工業、阪急阪神不動産は出展を辞退、一部スタッフがブースで相談に対応する形に切り替えており、コロナ禍の影響を感じさせた。
(川本真希、藤原秀行)