人手不足など対応、持続可能な社会構築目指す
日本通運とNECは6月21日、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する業務提携契約を締結したと発表した。
両社は2013年にグローバルな物流サービス事業の強化に向けた業務提携契約を締結し、「日通NECロジスティクス」を運営するなど、これまでにも物流の高度化・効率化に取り組んできた。
さらに協力関係を強化し、日本通運が有するグローバル物流ネットワークやロジスティクスのノウハウとNECが有するAI・IoTなど最先端のデジタル技術やインテグレーション力を活用。新規事業を通して人手不足などの社会課題を解決、持続可能な社会の実現に貢献したい考え。
近年、物流業界は少子化・人口減少に伴う労働力不足が深刻化しており、働き方の変化、サプライチェーンの複雑化やデジタル化など様々な課題を抱えている上、環境面についてはCO2の排出量削減が強く迫られ、日本や世界の各国で「2050年までに(温室効果ガス排出量を実質ゼロとする)カーボンニュートラルの実現」が宣言されるなど、脱炭素社会の実現を目指した取り組みの推進が企業に求められている。
今後も物流の高度化が一段と求められることが見込まれるのに対応するため、両社は昨年10月からさらなる協力関係の模索を開始、この度新たな業務提携契約を締結した。
※以下、プレスリリースより引用・編集部で一部修正
短期的な取り組み
IoTを用いて倉庫現場の人や物の動きなどを高速かつ適切にデータ化し、AIでタイムリーに分析することで、作業員のノウハウや暗黙知をデジタル化。
倉庫のパフォーマンスを最大化し、労働力不足の解決に寄与するとともに、作業員が安全・安心に働ける環境を実現する。
将来的には、輸配送現場も含めた物流現場全体での事故ゼロや人員配置最適化にもつなげていく。また、産業軸では、重点領域の電機・電子から始め、半導体、自動車のサプライチェーンへの展開も検討していく。
中長期的な取り組み
中長期的な取り組みのひとつとして、距離を超えて人が人を支える社会づくりの可能性を探索する。
働き手が減少している産業、労働環境の悪い場所、危険な地域、地球の裏側など、これまで人力による作業の提供が困難であった場所で、AIや遠隔操作ロボットなどを用いて作業を提供することを想定。
最初は、日本通運の倉庫作業の遠隔操作で実証を開始し、ロボット操作人材の育成や動作プログラムの構築などを通じて知見を蓄積し、世代、国境、産業の垣根を越え、社会の発展を支える。
また、サステナブル(持続可能性)な社会実現に向け、物流プロセスにおけるCO2排出量の可視化と削減をテーマに掲げ、取り組む。自社の改善にとどまることなく、パートナーや顧客などサプライチェーン全体へ拡大することで、社会の環境負荷低減に向けて活動していく。
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)