デカルト調査、「トランプ関税」影響が顕著
米調査機関デカルト・データマインが6月16日公表した海上コンテナ輸送量実績調査結果によると、5月のアジア主要10カ国・地域発米国向け(往航)輸送量は前年同期比9.9%減の149万6371TEU(20フィートコンテナ換算)だった。
23年9月から20カ月連続で前年実績を上回ってきたが、5月は1年9カ月ぶりに減少へ転じた。全世界ベースで見ても、6.3%減の218万4301TEUにとどまった。
米国でトランプ大統領が中国などからの輸入品を対象に関税を引き上げる動きを強めており、世界の貿易に影響を及ぼし始めている。
10カ国・地域のうち、取扱量が全体の約5割を占めて断トツでトップの中国が26.7%減の70万5317TEUと大きく落ち込んだことが全体を押し下げており、“トランプ関税”の影響が顕著に出た。前月の4月と比べても19.3%減った。
その一方、2位のベトナムは前年同月比39.2%増の22万767TEU、3位の韓国は4.0%増の20万6045TEU、4位のインドは19.3%増の7万9519TEUなど、7カ国・地域は前年水準を上回っており、中国の急減速をカバーした格好だ。国・地域によってトランプ関税の影響の度合いが異なっていることを示唆している。
世界発米国向けコンテナを原産国ベースで見た場合でも、中国は前年同月比28.5%減と急ブレーキがかかっている。
品目別では上位10品目のうち、ゴム製品(タイヤ)を除く9品目が前年同月から減少した。家具類は16.1%減、機械類は9.5%減、プラスチックは5.3%減などとなった。
一報、米国発アジア10カ国・地域向けの4月のコンテナ輸送量でも、中国向けは49.1%減の6万7711TEUで、3月との比較でも36.1%減を記録している。全体では1.7%減の49万3507TEUだった。
(藤原秀行)