国内ドローンメーカーの草分け的存在だったエンルートが特別清算

国内ドローンメーカーの草分け的存在だったエンルートが特別清算

コスト増で収益性悪化し債務超過、不祥事で信用悪化も響く

帝国データバンクが6月30日明らかにしたところによると、国内ドローンメーカーの草分け的存在だったエンルート(埼玉県朝霞市)が6月18日、東京地裁から特別清算の開始命令を受けた。負債総額は2020年3月末時点で約17億7700万円。

エンルートは06年10月、当時の代表取締役がラジコンの製造・販売を目的に設立。その後、複数翼を持つマルチコプターの開発に進出し、近年はドローンをはじめとした産業用ロボットの開発・販売に従事していた。

高い技術力を生かして農薬散布用ドローンや建設業界で使用される各種測量用ドローン、敷地内監視用のドローンなど多岐にわたる製品を開発。保守・修理や研究開発の受託、技術者講習なども展開し、16年9月期には売上高約6億4800万円を計上していた。

16年7月にはスカパーJSATホールディングスの傘下に入り、資本も増強して開発力を高め、販路を広げるなどして業容の拡大を推進。しかし、当初計画通りに売り上げが伸びず、開発費の先行と人件費をはじめとした各種コストの大幅増加で収益性が悪化。19年3月期(17年に決算期を変更)は売上高が約4億2800万円まで落ち込み、最終損益は4期連続の赤字となる約9億4900万円の大幅欠損を計上、債務超過に陥っていた。

さらに、国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業について、16~19年度に委託費の一部を不正に受給していたことが判明、対外信用が悪化したことも響き、自力での事業継続を断念。NTT東日本系のNTT e-Drone Technologyにドローン事業を譲渡した上で清算することを決め、6月3日に会社を解散していた。

(藤原秀行)

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