地域社会との共生重視、「ふなっしーパーク」など備えた大規模緑地を周辺住民に開放
三井不動産は6月30日、千葉県船橋市で竣工した新たな物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅲ」をメディアに公開した。
新施設は地上8階建て、延べ床面積は27万1051平方メートル。各階の倉庫・トラックバース面積は約2万7000平方メートルと業界最大級の施設規模を備えている。庫内は全館空調を実装するなど働きやすい環境の整備に努めているのと併せて、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、「非接触・非密集」の環境整備を図っている。
同社は船橋エリアで計3棟の大型物流施設の開発を進めてきた。「MFLP船橋Ⅲ」の竣工で足かけ8年を費やし、総延べ床面積約70万平方メートルを建設する未曾有の大型プロジェクトが完成した。プロジェクト全体で「街づくり型物流施設」を標ぼうし、物流施設前に大規模な緑地を整備し周辺住民に開放するなど、地域社会との共生を重視。従来の物流施設のイメージを大胆に変えたユニークな施設となっている。
「MFLP船橋Ⅲ」の外観(三井不動産提供)
施設前に広がる大規模な緑地空間
エントランスで来場者を出迎える壁面アート
フラッパーゲートでセキュリティに注力
テナント企業向けプライベートガーデンも
MFLP船橋Ⅲなどが位置するのはJR京葉線の南船橋駅から徒歩10分以内のエリアで、東関東自動車道の谷津船橋ICから約2・2キロメートル、京葉道路の花輪ICから約3・3キロメートルに位置。三井不動産が運営している大型商業施設「ららぽーとTOKYO-BAY」や、家具大手IKEAの店舗も至近。かつては船橋ヘルスセンターや屋内スキー場「スキードームザウス」、船橋オートレース場があった場所だ。
MFLP船橋Ⅲでは、事務所の天井高を全フロアで約3・6メートル確保。施設前の緑地空間を窓から一望できるようにし、開放的な雰囲気を醸し出している。庫内は45フィートコンテナ車両にも対応したトラックバースを備え、車番認証トラックゲートなども導入。テナント企業の物流オペレーション効率化に最大限配慮している。
また、省エネルギーによる脱炭素化に貢献するため、人感センサー・調光機能付きLED照明などを積極的に採用。施設内のCO2濃度測定も行っている。
柱の間を広く取った庫内
45フィートコンテナ車両に対応したトラックバース
窓からIKEA店舗などを眺望できる高天井オフィス
トラックバースの利用状況をリアルタイムでチェック可能
隣接する自動化設備ショールーム「ICT LABO 2.0」
コロナ禍を踏まえ、ボタンに触らず手をかざせば目指す階に向かうことができる非接触型エレベーターや入室時の顔認証システムを取り入れているほか、密集を防ぐため館内のトイレ混雑状況を表示している。
働きやすい環境の確保へ周辺の街並みを一望できる屋外テラス(5、8階)やラウンジ(4、7階)を設置。テナント企業向けの貸し会議室も備えている。さらに、テナント企業専用のプライベートガーデンを用意、有償でバーベキューなどのイベントに貸し出す。
顔認証システム
トイレの混雑状況を表示
屋上から周辺の街並みが眺望できる
無人売店には卓球台も配備しパレットを再利用
くつろげるラウンジスペース
屋外テラス
張り出した部分の上部を屋外テラスに活用
ジョギングや散歩を楽しめる空間
大きく目立つのが、施設前に設置している約2万平方メートルの緑地空間だ。7月1日に完成、同2日から利用可能になる。緑地空間は日中、周辺住民にも開放し、ジョギングや散歩などを楽しめる空間にする構想だ。以前は4棟目の物流施設を開発することを検討していたエリアだが、地域との共生を重視し、緑地整備に方針転換したという。
近隣の子どもたちが楽しく過ごせるよう、地元船橋市から全国区となった有名なゆるキャラ「ふなっしー」をデザインした公園も設けている。既に完成しているスケートリンクも緑地に面して存在しており、施設で働く従業員と周辺住民の双方にとって非常にリラックスできる楽しい空間となりそうだ。
ジョギングや散歩ができるコースを設置
プライベートガーデン
アイススケートリンク
屋外でも卓球が可能
存在感抜群の「ふなっしーパーク」
コンポストも設置
緑地空間内はカメラで監視
自動芝刈り機も待機
緑地空間内に隠れているSDGs(持続可能な開発計画)の17目標のアイコンを探そう!
(藤原秀行)