「ロボットのまち」からモノづくり大国・日本の復権推進目指す
ロボコム・アンド・エフエイコムは6月29日、福島県南相馬市で、次世代型デジタルファクトリー「ロボコム・アンド・エフエイコム南相馬工場(R&F南相馬工場)」を6月28日に開所したと発表した。
※以下、プレスリリースより引用(一部、編集部で修正)
「ロボットのまち 南相馬」で、最先端デジタルファクトリーが稼働
日本の製造業が置かれている環境は、地政学リスクの高まりや自然災害によるサプライチェーンの分断、深刻な人手不足など、かつてない規模と速度で急速に変化しつつあり、極めて厳しい状況を迎えている。経済産業省が発行する「2021年版ものづくり白書」では、不確実性が高い時代において取るべき戦略として、「デジタル化によるダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)を強化する必要がある」と提唱されている。
製造業におけるデジタル化を実現するためには、IoTで全ての工程・設備のデータを収集し、AIを活用したシミュレーションで最適解を出し、それに基づいて自律的に工場を稼働させる「デジタルファクトリー」の構築が必要不可欠。R&F南相馬工場の建設地・南相馬市は17年に「南相馬ロボット振興ビジョン」を策定し、ロボット産業を根付かせるために、復興工業団地内に福島ロボットテストフィールドを設置するなどの取り組みを推進している。そして、R&Fは19年に復興工業団地立地企業第1号として、「ロボットのまち 南相馬」に最先端技術・設備を導入したデジタルファクトリーを着工した。
ロボット・システムインテグレーター」の後方支援
製造業が直面している課題を解決する「デジタルファクトリー」の構築に必要不可欠な存在が、ロボット・システムインテグレーター(ロボットSIer)。しかし、ロボットSIerは多くの課題を抱えている。自動化×デジタル人材の不足、加工部品の適切な発注先が分かりにくく納期が長い、設計や制御の標準化が進まず効率が悪いなど、解決が難しい課題が山積している。さらに、人材不足解消のためエンジニア育成が急務だが、個社ごとに対応するのは課題が多く、進んでいないのが実情。
R&Fは変種変量生産システムをデジタル技術で実現するチーム「Team Cross FA」の一員として、上記ロボットSIerが抱える課題解決に向けて「半製品ロボット・FA キットの開発」「特注部品の短納期加工」「ロボットSIerの育成と提供」を通じ、後方支援を行う。
変種変量生産に対応するデジタルファクトリー
R&F南相馬工場は、「カーボンニュートラルを実現するエネルギーマネジメント」「販売から生産設備まで連動した生産システム」「生産を停止させない工場のネットワークセキュリティ」などに取り組み、デジタルとリアルの融合により実現した24時間完全無人化ラインを備える、次世代型モノづくりの基幹工場となるデジタルファクトリーとして稼働を始める。
同工場はハイエンド機器を多数導入し、加工部品の変種変量・短納期生産を実現。また、ロボットによる工程の自動化をスムーズにできる半完成品「ロボットシステムパッケージ」も開発・生産。これまで、大手企業でしか導入できなかった自動システムの導入コストと維持管理コストを下げ、中小企業でも導入可能なパッケージとして提供する。これは同時にロボットSIerの後方支援にも直結する。
不確実性の高まる社会で、R&Fは「ロボットのまち 南相馬」でデジタルファクトリーを稼働させることにより、モノづくり大国・日本の復活を目指す。
最先端の技術と設備を導入した南相馬工場の特徴
①カーボンニュートラルを実現するエネルギーマネジメント
カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして、自家消費型太陽光発電システムや産業廃棄物計量システムの導入、製品単位での原単位管理によって、CO2 排出量約3000トン/年の削減を実現する。
②販売から生産設備まで連動した生産システム
AIを活用した自動見積もりの活用や生産設備まで連動した生産システムを実現。
変種変量・短納期生産に対応。生産管理システムや最新の CAD/CAMシステムおよび、デジタル上に構築された仮想生産ラインによるシミュレーション、統合MES(製造実行システム)などが生産設備とシームレスにつながり、さらに生産設備や製造製品の情報がシステムにフィードバックされることで、デジタルツインを実現。自律制御された完全無人エリアを含む、全体最適化された工場を可能にした。
③生産を停止させない工場のネットワークセキュリティ
基幹システムのコアネットワークレベルと工場内の生産ネットワークレベルの2段階でネットワークセキュリティを構成して、一般的なコア側のアクセス制御(ACL)、ファイアウォール、UTM(統合脅威管理)に加え、工場内のネットワークを各加工ゾーンをセルとして分け、それぞれにエッジ側ファイアウォールを設置することで、外部だけではなく、内部からの攻撃に対してもセキュリティを強化する。
「ロボコム・アンド・エフエイコム南相馬工場」の施設概要
加工工場 :75mx30mxH7m(ロボット自動化加工工場)
組立工場 :30mx15mxH4m(ロボットシステム組立工場)※予定
本館 :37mx24mxH3m(2F 建)
【1F】展示場、会議室x2、倉庫 【2F】事務所(50 人)、ラボ、食堂
研修施設 :35 人収容
開所式参加者によるコメント
衆議院議員 復興副大臣 亀岡偉民氏
南相馬工場の開所、誠におめでとうございます。工場を見学させていただきましたが、ものづくり大国日本の復活には、若い人がワクワクして仕事に取り組める環境整備が大切です。この工場はその夢の第1歩を作っていただいたと思っています。是非ここ南相馬市で、世界一のものづくりの情報が発信できる様な素晴らしい工場にしていただきたいと考えております。
参議院議員 山田太郎氏
ロボコムが創業したときのスターティングメンバーとして、南相馬工場の開設は非常に灌漑深いものがあります。15年にドイツに視察に行った際、「コンサルだけではなく、実際にものづくりを行い、見せる事が大切」という話をしたが、それを実現したここにいる新しいメンバーが、日本のものづくりの復興に大いに役立つものと考えています。日本の製造業が復活する、素晴らしい歴史的瞬間に立ち会えたのでは無いかと考えております。開所誠におめでとうございます。
南相馬市 市長 門馬和夫氏
R&F 南相馬工場は復興工業団地進出企業第1号です。2年ほど前に会社に訪問した時、若い人が働く新しい取り組みをする会社だと感じました。また、首都圏からの技術者、外国籍の方、地元採用の方がおり、うれしく思っております。世界の最先端の取り組みが福島南相馬で始まっていると感じております。ここを拠点に巣立っていただけることを祈りつつ、南相馬市民を代表して歓迎します。
ロボコム・アンド・エフエイコム 代表取締役社長 天野眞也氏
多くのご来賓、メディアの方に開所式にご参加いただき、あらためて御礼申し上げます。日本の製造業が再び復活するためには、自動化とデジタル技術の導入が必要不可欠ですが、それらを担うロボットSIer が絶対的に足りないという現実があります。R&F南相馬工場は、ロボットSIerを後方支援するとともに、かっこいい工場として業界を魅力あるものにしていくことで、日本を再び元気にする起点となりたいと考えております。
ロボコム・アンド・エフエイコム 代表取締役 飯野英城氏
本日無事開所を迎えることができ、あらためてご支援いただいた皆様には厚く御礼を申し上げます。R&Fのコンセプトは「ロボットSIerを後方支援すること」です。この技術は積極的にオープンしていく方針ですので参考にしていただき、中小製造業も含めたモデル工場を目指していきます。この工場を起点に製造業、ロボットSIerを盛り上げることで、恩返しをさせていただきたいです。
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)