共同研究を継続、運送効率化の情報システム連携は22年度めどに主要拠点で完了目指す
モノフルは8月11日、日通・NPロジスティクス(NPL)と輸送システム連携を開始したことを発表した。モノフルが展開しているトラック受付・予約サービス「トラック簿」とNPLが刷新した輸配送管理システム(TMS)を連携させ、NPLの物流拠点で入出荷などの効率化につなげ、トラックの待機時間削減などを図る。
NPLは2019年4月に「全社物流イノベーションプロジェクト」を開始。トラックドライバー不足を踏まえ“ドライバーに喜んで運んでもらえる仕事”の提供を目指し、拘束時間短縮のための業務効率化を促進している。
今回のシステム連携もその一環で、物流拠点の庫内作業の改善すべきポイントを浮き彫りにして見直しを順次進めるとともに、連携する物流拠点の対象も拡大。23年度をめどに、拘束時間短縮などの具体的な目標を掲げ、予実管理の結果を基に達成を目指す体制をスタートしたい考えだ。
両社は併せて、双方の持つ経験やシステムなどを生かし、物流業務全体の効率化に向けた共同研究を継続する。今後は双方の担当者が定期的に会合を開催し、物流拠点の空きスペース活用推進、ロボットの有効活用などについても協議していく見通しだ。
共同研究のイメージ(モノフル提供)
「“ドライバーに選ばれる現場”実現が生命線」
NPLは今年4月に旧来のシステムを刷新した新たなTMSを稼働させたのと同じタイミングで、モノフルのトラック簿との連携を開始した。その背景には、NPLの輸配送現場でデジタル化が遅れていたことがある。
同社の石田雄介事業インフラ部長は「物流センターへ入構したトラックの積み込みなどの作業進捗状況はホワイトボードに手書きで記入、管理していた。当社が主力にしている家電製品は夏場にエアコンの取扱量が急増するなど、季節波動が非常に大きく、トラックが大量に入構すれば待機時間も発生し、非常に煩雑な管理が必要だった。こうした状況を変えたいと思ったのがTMS刷新の契機だった」と説明する。
NPL・石田氏(以下、顔写真はモノフル提供)
2000年ごろに運用を始めた旧来のTMSは主に商品が顧客へ納入されたかどうかを確認する送り状の管理が主な機能で、パートナーの運送会社とのやり取りは手作業に任せていた。同社情報システム部の井上篤企画推進課長は「多くの関係者が情報を共有できる環境を作らないとパートナーの運送会社の負荷も減らない。配車から入出荷、納入、運賃支払いまで一気通貫の仕組みを作る必要があると考え、新たなTMSはパートナーの運送会社との連携も機能に追加した」と振り返る。
NPL・井上氏
そこにトラック簿を組み合わせることで、NPLの配車担当者が作成した配車計画がすぐにトラック簿と連携、倉庫側で入出荷の細かい計画を立てられるようになるなど、業務をより強力に効率化できる環境を整備しようと考えた。
NPLの主要拠点には先行してトラック簿の導入を進めており、現在は4拠点でTMSとのシステム連携を実施している。NPLは連携により、トラックの待機など拘束時間を減少することに主眼を置いている。さらに、トラック簿を使えば個々のトラックがどれだけの時間、NPLの拠点にいたのか正確に把握できるため、同社は積み降ろしなどの作業工程のどこに課題があるかを分析、解消に動けると期待している。22年度中に主要拠点でシステム連携を完了することを目指している。
NPLの上甲孝執行役員(全社物流イノベーション推進室など担当)は「自社で車両を保有していない当社にとっては、パートナーの運送会社のドライバーの皆さんが当社の仕事に付いてきてくれることがまさに生命線。“ドライバーに選ばれる現場”にならなければいけない」と強調する。
モノフルの武田優人セールス&マーケティングゼネラルマネージャーは「物流の変革はいかに情報を関係者の間でつなげていくかがポイント。今回のような連携をさまざまな物流企業との間に広げ、バース管理に加えて業務全体の設計や改善に寄与していきたい」と意気込む。
共同研究に関しては、モノフル親会社の日本GLPやモノフルが出資などでパートナー関係を築いているプラスオートメーション、soucoといった企業とも連携。倉庫部分の空きスペースを他の物流企業や荷主企業がシェアリングして適宜使用できるようにすることや、様々なロボットを庫内に導入、生産性向上につなげられるオペレーションを構築することなどを視野に入れている。輸配送のマッチングサービスなども念頭に置いており、2カ月に1回のペースでモノフルとNPLの担当者が協議、実現できる可能性を追求していく計画だ。
NPL・上甲氏
モノフル・武田氏
(藤原秀行)※ロゴマークはモノフル提供