堅調なニーズ見込めると判断、中部圏でも準備
日本GLPは、先進機能を持つ大規模な物流施設を同一エリアで複数開発する独自プロジェクト「ALFALINK」(アルファリンク)を3大都市圏で継続的に展開していく方針だ。
ALFALINKに関しては、千葉県流山市でこのほど大型案件が竣工。既に賃貸スペースの8割程度で入居が決まるなど、荷主企業や物流事業者の旺盛な需要を引き付けている。広大な用地の獲得が不可欠ではあるものの、底堅いニーズが期待できると判断。引き続き、開発適地を丁寧に掘り起こしていく構えだ。
ALFALINKは基本的なコンセプトの1つとして、地域との共生を最重視しており、同社は今後着手する案件でも従業員や住民が気軽に利用し、各種イベントを開催できる緑地スペースや共同施設を標準的を配備していくことを念頭に置いている。ALFALINKのこうした取り組みは、他社が大規模物流施設を開発する上で影響を及ぼしそうだ。
竣工した「GLP ALFALINK 流山8」の外観(日本GLP提供)
ALFALINKのロゴマーク。陸を表すライトグリーンと、海、空を表すライトブルーをモチーフに、陸・海・空をシームレスにつなぎ、物流に未来の「+α」を生み出していくALFALINK のコンセプト=「創造連鎖」を表現。シンボルマークのラインはALFALINKを起点にひとときも止まることなく生まれ、広がりつづける、新たな物×人×情報×価値の流れを表している」という。
地域住民との共生重視が標準的機能に
ALFALINKは流山市と神奈川県相模原市でそれぞれプロジェクトを進めているほか、3カ所目となる大阪府茨木市の開発も発表した。このうち、流山市は既に完成、稼働している物流施設3棟の名称を変更した分も含めてプロジェクト全体で8棟を運営する計画で、総延べ床面積は90万平方メートルを超える見通し。
ALFALINKブランドを冠して開発を始めたものとしては初の案件となる「GLP ALFALINK 流山8」は地上4階建て、延べ床面積15万5093平方メートル。佐川急便や山九、GBtechnologyなど15社が入居を決めている。日本GLPの帖佐義之社長は「年内には満床になるとみている」と自信を見せる。
一方、相模原市は4棟、総延べ床面積67万平方メートル超を建設する予定で、「流山8」と同じタイミングで1棟目が竣工する。第3弾は大阪府茨木市で2023年に着工、3棟を整備する計画で、延べ床面積はトータルで甲子園球場8個分に相当する約32万平方メートルを想定している。
相模原のALFALINKは当初の事業計画から2年以上前倒しで建設を進めるなど、既に着手しているプロジェクトは引き合いが盛ん。茨木の3件目についても問い合わせが寄せられているという。それぞれの物流施設の規模が大きいことに加え、トラックターミナルを誘致して発送業務の効率化を後押ししたり、製品のテストといった工場用途にも対応できる設計にしたりと、サプライチェーンの幅広い領域をカバーできるよう工夫していることもテナント候補企業の注目を集めているようだ。
現状は首都圏と関西圏でそれぞれ1カ所、これまでに手掛けているプロジェクトと同規模の、延べ床面積がトータルで数十万平方メートルに及ぶ計画を進行しているもよう。また、中部圏でもプロジェクトの準備を進めている。帖佐社長は「用地は数年にわたって仕込んできた。ずっと温めてきたものがようやく実を結んできたという感じがしている。この開発ペースには十分満足している」と語る。
今後のALFALINKの展開でも、基本のコンセプトとして、価値・事業創造の拠点となる「Open Hub」、サプライチェーンの多様な機能に対応する「Integrated Chain」、最先端の技術を生かす「Shared Solution」の3点を継続して重視する方針。地域社会との共生を重視し、災害発生時に物流施設を避難所として開放するなどの取り組みを続ける予定だ。
流山では規模の大きな「流山8」など3棟で、施設で働く人や地域住民らの交流の場を設置する計画を推進中。相模原も敷地中央エリアにブランドのコンセプトを体現した直径約90メートルの環状にデザインされた共用施設「リング」を設置。レストランやコンビニ店舗、カンファレンスルーム、託児所、ジムを備え、施設の従業員らに開放、働きやすい環境整備に努める予定だ。今後、首都圏や関西圏で開発を本格化させるALFALINKでも、従業員や地域住民に開放する公共性の高い施設を取り入れることを検討している。
「リング」の完成イメージ(日本GLP提供)
(藤原秀行)