最大7キログラムを搭載、22年中に国内で定常運行実現目指す
楽天グループと日本郵便、両社の合弁会社JP楽天ロジスティクスは9月30日、長野県白馬村の山岳エリアで今年8~9月の約2カ月間、白馬村などによるドローンを活用した物資配送の実証実験に参加、成功したと発表した。
白馬村の白馬岳登山口にある宿舎(標高1250メートル)から山頂の宿舎2カ所(標高2730メートルと2832メートル)まで往復約10キロメートル、高低差約1600メートルを飛行。生鮮食品や飲料、医療物資など最大7キログラムを搭載した。
2020年に同村で行った同様の実験の際は、補助員7人を配置し、トータルで10人以上が運用に携わっていたが、今回は補助員を置かず、2人で運用することができた。従来使っていたものよりも高性能な台湾製のドローンを採用、大幅なコスト削減につながった。
政府がドローン飛行の安全規制緩和で承認した、高度1メートル以下からの荷物投下も実施、往復飛行での配送を実現した。補助者を配置しない目視外飛行での物件投下による往復配送の実現は今回が国内で初めてという。
ドローン配送の様子
配送ボックスを装着する様子(いずれも3社提供)
オンラインで記者会見した楽天グループコマースカンパニーの向井秀明ロジスティクス事業ドローン・UGV事業部ジェネラルマネージャーは、山頂へのヘリコプター輸送を補完・代替できるレベルまでコストを抑えられる見通しが立ってきたと説明。「今回、山小屋へドローンでどのように配送すればビジネスとして成り立つのか、基本的な仕組みを作ることができた。ぜひうちでも、とお声掛けいただければ積極的に展開していきたい。まずは定常運用をどこかの山小屋で始めるのを2022年の目標に掲げている」と語った。白馬村での展開も視野に入れているという。
併せて、政府が22年度に人口密集地上空でドローンの目視外飛行による輸送が可能な「レベル4」を解禁する方向で準備を進めている点に言及。中長期的に都市部でドローン物流を実現することにあらためて強い意欲を示した。
(藤原秀行)