海洋のビッグデータ活用、実効性ある保全再生アクションを推進
商船三井は11月15日、琉球大学理学部海洋自然科生物系、久保田康裕教授が中心となって進める「海の豊かさを守る」ための産学官連携プロジェクト「Ocean180」に参画すると発表した。
同プロジェクトは、海洋生物ビッグデータと統計モデルやAIを生かし、海の生態系を見える化して大学等研究機関・市民・行政・企業・金融機関と共同で海の豊かさを守ることを主眼に置いている。
プロジェクト名のOcean180は劣化する海の状況を反転し改善させるという願いを込めており、生物多様性のビッグデータ分析を基にした実効性のある海の保全再生アクションを推進する。
同社は船舶運航データの提供、海洋生物データと海運データを統合した海上物流における影響の可視化技術の開発に協力する。また、同社が推進する海洋生物多様性保護に関する取り組みに、同プロジェクトから得られる情報・知見を活用することで社会実装への協力、各種事業化の検討を進める。
目標① | 誰もが使えるような、海の生物多様性ビッグデータを整備。海洋生物に関する様々な情報を規格化・強化・浄化しデータ統合するツールを開発。そして、機械学習(人工知能など)を駆使し、遺伝子・種・群集・生態系の多様性および保全利用の指標値を地図化し、行政機関や海に関わる様々な企業が利用可能な情報基盤を提供。 |
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目標② | 適応的で持続的な海洋保全利用に関する技術開発。世界・日本スケールで生物多様性の時空間パターンを定量予測し、環境変動を考慮した海洋保護区の空間配置、温暖化・沿岸開発・漁業・海運に関係した海の生物多様性と生態系サービスの影響評価を行う。 |
目標③ | 様々な業界の連携で社会実装を推進。市民・行政・企業・金融機関と協働し、例えば、海洋生物可視化アプリケーションによるGIGA 教育事業、海洋生態系への影響も考慮した海運オペレーションモデル構築、海の豊かさへの影響に関わるリアルタイム評価監視システムの構築などを推進。 |
正式名称「海洋生物多様性ビッグデータ汎用化の基盤技術と海の豊かさを守る応用技術の開発」で、文部科学省の「海洋資源利用促進技術開発プログラム 海洋生物ビッグデータ活用技術高度化」*の一つとして実施。同プロジェクト期間は、「国連海洋科学の10年(UNDOS)」に対応した2021-2030年の10年間で、事業規模は年間最大3000万円。
商船三井が提供する船舶運航データについて
同社は、洋上ビッグデータを活用し、運航船の安全運航強化・環境負荷低減の深度化を目指す「FOCUSプロジェクト」に取り組んでおり、船体・機関・貨物・他船・海気象などの最大1万点以上のセンサから1分間隔で収集したデータを解析し、安全運航のさらなる強化や運航効率の改善、環境負荷低減を支援する各種アプリケーションを順次拡充している。
(ロジビズ・オンライン編集部)