米ソフトウエア大手ブルーヨンダーと連携、輸配送や入出庫の効率化支援を強調
パナソニックの社内カンパニーで製造業や物流事業者など向けソリューションサービス開発を手掛けるコネクティッドソリューションズ社の常務兼CTO(最高技術責任者)兼イノベーションセンター所長に11日1日付で就任した榊原彰氏は12月1日、オンラインで就任記者会見を開催した。
榊原氏は1986年に日本アイ・ビー・エム(IBM)入社。システムエンジニアなどを歴任した。2016年には日本マイクロソフトの執行役員CTOに就任。同時期に日本マイクロソフトに在籍していて現在はコネクティッドソリューションズ社の社長を務めている樋口泰行氏の部下だった。
会見で榊原氏は「コネクティッドソリューションズ社をITプロバイダーにすることが私の最大の使命だと思っている。そこに注力して業務を続けていきたい。コネクティッドソリューションズ社を突破口として、パナソニック全体がもっと時代にマッチした様々なテクノロジーを、BtoBもBtoCも提供していけるような企業に変革していくステップストーン(敷石、飛び石)になれればいい」と抱負を表明。
パナソニックが9月に買収した製造業や流通業の業務効率化支援ソフトウエア大手の米ブルーヨンダー(旧JDAソフトウエア)と連携し、工場の稼働具合や在庫の数量などの状況変化をリアルタイムで把握、配送や入出荷を自動的に効率化・最適化していく「オートノマス(自律的な)サプライチェーン」を実現したいとあらためて訴えた。
榊原氏(コネクティッドソリューションズ社提供)
榊原氏は、ブルーヨンダーとタッグを組み、画像や音声の高精度な認識などパナソニックグループが持つ先進技術とブルーヨンダーのAIを生かした需要予測などのソフトウエアを組み合わせ、新たな業務効率化支援サービスを開発していくことに強い意欲を見せた。
物流に関しては「まだまだ非常に無駄が多い業種になっている。輸配送はいろんな分析をして最適な経路、時間を作っていくことが必要。倉庫管理でもピッキングするロボットがある倉庫に何でもかんでも商品を入れるとかえって効果が薄く、よく出し入れするものをピックアップロボットに任せて、そうではないところは人間がやった方が効率は良い」と指摘。
「ソフトウエアが自律的に、いずれのやり方がより効率が良いのか判断して動くようなオートノマスサプライチェーンを、エンド・ツー・エンドのプロセスで組み立てていく、ということをやっていきたい」と語った。
また、様々なソリューションをリカーリング(継続課金)型に移行していくことで、企業の利用開始のハードルを下げ、長く使い続けられる環境を整える姿勢をアピール。社内の事業体制を変えていく必要性を強調した。
「オートノマスサプライチェーン」のイメージ(パナソニックウェブサイトより引用)
(藤原秀行)