荷主の9割超が輸送費などの値上げ要請「応じた」

荷主の9割超が輸送費などの値上げ要請「応じた」

JILS18年度物流コスト調査速報版

 日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は2018年12月25日、18年度の物流コスト調査結果の速報版を公表した。回答企業の売上高に占める物流コストの比率は全業種平均で4・95%(217社、速報値)となり、前年度から0・29ポイント上昇した。


売上高物流コスト比率の推移(JILS資料より)※クリックで拡大

 前年度実績を上回るのは16年度調査以来2年ぶり。過去10年間では16年度(4・97%、221社)に次いで2番目に高い水準となった。17年度から2年続けて調査に協力した163社ベースでも前年度比0・10ポイント上がって4・86%だった。JILSは「物流事業者からの値上げ要請などを理由に比率が大きく上昇した」と推測している。

 調査結果からは運送事業者の値上げ要請に対して大半の荷主が応じていることも浮き彫りとなっており、JILSは「もはや荷主は物流事業者からの値上げ要請を受け入れざるを得ない状況になったと考えられる」とみている。

 調査は18年8~12月、荷主企業にアンケート調査票を送付した。詳細版は今年3月に販売予定。

 全社ベースの売上高物流コスト比率を業種大分類別の平均値で見ると、製造業(159社)は4・90%、非製造業(58社)は5・06%、卸売業(37社)は5・55%、小売業(17社)は4・50%だった。4業種とも前年度から比率がアップしている。

値上げ要請の8割強が輸送費

 一方、物流事業者からの値上げ要請の動向について尋ねたところ、回答した荷主224社のうち、87・9%(197社)が要請を受けたと認めた。17年度調査の71・6%から10ポイント以上増加している。

 具体的なコストの種類(複数回答あり)は輸送費が187社と、要請があった荷主全体の9割強を占めた。次いで荷役費(81社)、保管費(49社)、包装費(23社)、物流管理費(10社)となった。

 値上げ要請を受けた197社のうち、「値上げに応じた」と説明したのは95・4%の188社に達した。こちらも17年度調査時の76・9%から大きく比率が上がった。具体的な費目(複数回答あり)では輸送費が175社とやはり9割強に達した。他は荷役費(69社)、保管費(38社)、包装費(19社)、物流管理費(10社)。

 具体的にどの程度値上げしたのかは不明だが、調査結果から推察する限りでは、物流コストの種類を問わず、荷主の間で“値上げ受け入れやむなし”のムードが引き続き強まっている現状が示された。

(藤原秀行)

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