矢野経済研究所公表、食品通販利用率上昇などプラスも輸送効率化による物流費削減が逆風
矢野経済研究所は1月27日、低温物流市場の調査結果を公表した。
2020年度の市場規模は日系低温物流事業者の国内外における販売高ベースで、前年度比1.7%減の1兆7500億円と集計。19年度まで好調に推移してきたが、減少に転じた。
同社は主な要因として、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛と訪日外国人客の激減で外食産業が大きく低迷したのを受けて、飲食店など向けの業務用冷凍食品の需要が落ち込んだことを挙げている。
“巣ごもり需要”で家庭用冷凍食品の需要は伸びたものの、業務用冷凍食品の減少分を補うまでには至らなかったと分析している。
一方、21年度は0.6%増の1兆7600億円と微増を見込む。同社は背景として食品通販の利用率上昇、業容の拡大、物流費の増加を列挙。一方で、業界としては前向きな取り組みになるものの輸送効率化による物流費の削減(効率化)が市場規模拡大にとって逆風になると想定している。
22、23年度も増加傾向を持続するとみている。
調査は21年9~12月、低温物流に関わる物流事業者・卸売事業者・メーカーや管轄省庁などを対象に、同社の専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、文献調査を併用して実施した。
(藤原秀行)