【現場取材】ESR、横浜・幸浦で19.6万㎡の大規模マルチテナント型物流施設を公開

【現場取材】ESR、横浜・幸浦で19.6万㎡の大規模マルチテナント型物流施設を公開

初のトルコ製コンクリート部材採用、免震に注力

ESRは2月3日、横浜市金沢区幸浦で竣工した新たなマルチテナント型物流施設「ESR横浜幸浦ディストリビューションセンター(DC)1」をメディアに公開した。

南北に並んだ大型の2棟で構成し、免震構造の地上4階建て、延べ床面積は19万5998平方メートル。首都高速道路湾岸線の杉田ICから約3キロメートル、横浜横須賀道路の並木ICから約2.5キロメートルの東京湾岸エリアに位置している。


「ESR横浜幸浦DC1」の外観。ESRの巨大なロゴマークを備えている


全景(ESR提供)


夜景(ESR提供)


最上階・4階の庫内

近隣では横浜湘南道路と横浜環状南線も24~25年に開通する予定となっており、首都圏広域や中部、関西圏へのアクセスに強みがある。

金沢シーサイドラインの並木北駅から約700メートル、徒歩約9分と通勤の面でも利便性があり、労働力確保にも優位性を持つ立地。

ワンフロアの最小区画が約920坪、最大で約1万3000坪の利用が可能。多様なニーズに対応できる設計を採用している。現時点で4割弱のフロアでテナント企業が固まっているという。

最上階の南北2カ所にラウンジスペースを設置し、北面には周辺の海などを一望できるスカイデッキを開設。女性用パウダーコーナーや託児所もそろえるなど、従業員の働きやすさに配慮している。新たな試みとして、施設内に樹木や遊具を備えた森のようなスペース「金沢の森」を開設。従業員らがリラックスできるような空間を確保している。

また、三菱重工業の工場だった敷地内に残っているガントリークレーンを産業遺産と位置付け、工業地帯としての地域の記憶を継承する横浜幸浦DCのアイコンとして保存。ライトアップやプロジェクションマッピングで演出する予定で、地域社会にも最大限配慮する姿勢を前面に打ち出している。


ラウンジスペース(南側)


ラウンジスペース(北側、ESR提供)


スカイデッキ


パウダーコーナー


託児所。外には遊べるスペースも設置(一番下の写真はESR提供)


「金沢の森」


鳥の巣箱も設けられている


敷地内に残るガントリークレーン

新たな取り組みとして、トルコで製造された、ひび割れを抑制する構造を持つコンクリート部材「プレストレスト・コンクリート」(PC)を免震構造の要となる上部躯体の大梁・小梁に採用した。国内で災害に強い建物のニーズの高まりに伴い、PC部材の供給がひっ迫したのを受け、横浜幸浦DC1の開発に携わった黒沢建設を介してトルコの部材を採用、免震機能確保にこぎ着けた。

横浜幸浦DC1の隣接地では「ESR横浜幸浦DC2」の建設を進めており、地上4階建て、延べ床面積は19万5373平方メートルの予定。2023年1月末の完成を見込んでいる。


エントランスホール(ESR提供)

免震装置


「横浜幸浦DC2」の建設現場

(藤原秀行)

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