物流などのドローン市場、22年度は3割増の3099億円見込む

物流などのドローン市場、22年度は3割増の3099億円見込む

インプレス調査、5年後は2倍強推計

ITに関するメディア事業を展開しているインプレスは3月17日、国内のドローン市場に関する調査結果を公表した。

2021年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は2308億円と推測。20年度の1841億円から467億円、25.4%増加するとみている。22年度は34.3%増の3099億円に拡大し、27年度には7933億円に達すると見込む。年間平均成長率(2021~27年度)換算では年22.8%に上る。

分野別に見ると、21年度はサービス市場が前年度比38.5%増の1147億円、機体市場は14.1%増の693億円、周辺サービス市場は15.6%増の468億円。各市場は今後も拡大が見込まれ、27年度はサービス市場が5147億円(21~27年度の年間平均成長率28.4%増)と最も成長し、機体市場は1788億円(同17.1%増)、周辺サービス市場は998億円(同13.5%増)に達すると試算している。

サービス市場の中の物流分野は20年度時点の推計より成長に遅れが見られるものの、その他の市場や分野は20年度の見込み通りの成長をたどっているという。

調査結果は「ドローンビジネス調査報告書2022」として、3月24日に発売する。


(インプレスホールディングス提供)

「レベル4」解禁で実用化・商用化促進

機体市場は、国内外のメーカーから農薬散布、点検、物流、測量など用途に合わせた様々な産業用機体が販売。メーカーは21年度も各産業分野のニーズに併せた機体を相次いで投入しており、インプレスは「市場が堅調に拡大するとともに、社会課題の解決に向けたドローンの利用が促進されるとみられる」と指摘。公共機関やインフラの点検用途などの分野を中心に機体の国産志向が強まっており、国内メーカーにも注目が集まっていると分析している。

サービス市場は「レベル4」(有人地帯における補助者なし目視外飛行)が2022年度中に解禁される予定となっているのを契機に、様々な産業分野でドローンの実用化・商用化が促進。22年度以降に市場規模が拡大していくと予想している。

点検分野は21年度に太陽光パネルや鉄塔、屋根などの領域で商用化・実用化に至っており、プラントをはじめとした生産設備や大規模建造物などの点検でも実証段階から一部で商用サービスが始まる段階にあると解説。農林水産業は20年から加速している農薬散布がさらに伸びを見せているほか、山林調査などでも活用が広がっていると説明した。

さらに、災害対応や巡回・警備といった分野でもドローンの利用が広がっており、特に近年ますます増えている大規模災害の調査でドローンの利用が拡大していると話している。

物流分野は21年度には従来の中山間地、離島といった環境に加えて、都市部での実証実験が増加。しかし、事業の採算性や運用体制の構築などの課題もあり、実用化は一部のサービスのみにとどまっていると分析している。

周辺サービス市場では、ドローンの産業利用が進むにつれて、バッテリーなどの消耗品や定期的なメンテナンス、業務環境に即した保険のバリエーションの増加などにより機体市場の拡大に合わせて引き続き成長していくと予想。今後、国がドローン操縦のライセンス制度を創設するのに伴い、スクール事業の動きが活発になるとみられることに言及している。

そのほか、各ユーザー企業における運用管理やソフトウエア開発などのドローンに特化した人材の要求が高まっており、人材サービス市場の拡大も予想されるとの見解を示している。

調査報告書の価格はCD(PDF)版、ダウンロード版が13万2000円、CD(PDF)+冊子版が12万1000円(いずれも税込み)

(藤原秀行)

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