会見で表明、髙木新社長も国際物流拡大に意欲
4月1日付で就任した日立物流の中谷康夫会長(CEO=最高経営責任者)と髙木宏明社長(COO=最高執行責任者)は同日、オンラインで記者会見した。
中谷氏は2022年度にスタートした新たな中期経営計画「LOGISTEED2024」を着実に実行し、以前から打ち出している「アジア圏の3PLリーディングカンパニー」の達成を引き続き目指す方針を表明。事業規模拡大へM&Aや提携を積極的に模索していく姿勢もあらためて強調した。
髙木氏は「今後も世界規模で競争力を高め、新体制でさらに(新中計の)LOGISTEEDを推進していく。私が仕事をする上での信条は『行動は成功への第一歩』。中谷会長とともに行動を起こしてチャンスを作る会社を創っていきたい」と意気込みを語った。
会見する中谷氏(左)と髙木氏(オンライン会見画面をキャプチャ―)
中谷氏は、アジア圏の3PLリーディングカンパニーを目指す上でクリアすべき課題が3つあると持論を展開。「1つ目は日本での確固たるポジションを死守しながらアジア圏の地域リーダーに進化できるか。2番目は盤石な経営基盤を構築・増強できるか、別の表現としては資金調達力とエコシステム拡大が図れるか。そして3番目が『Society5.0』を支える次世代ロジスティクスでリーダーシップを取れるかだ」と強調した。
その上で「課題(の解決)を(新中計期間中の)3年間でやり抜くにはM&Aを含めた数多くの施策をスピーディーに同時進行させる必要がある」と指摘。今回のトップ人事で経営戦略の立案をCEO、執行をCOOがそれぞれ主導する体制へ移行し、より迅速な事業展開を図ると狙いを解説した。
アジア圏の3PLリーディングカンパニーの達成については「3PLについてインドまで含めて一定の売り上げ規模、まず1000億円は行きたいと思っている」と意欲を表明。併せて、「今の事業の積み上げだけでは少し足りないので、中計期間中はM&Aもやっていく。インドやマレーシアなどで積極的に投資しており、ここでベースを造って、次の中計あたりではきっちりと、まさにリーダーになったなということが見えるようにしたい」と語り、新中計でアジアの3PL事業規模拡大の礎を構築して25年度以降にアジアトップの売り上げ規模を実現していきたいとの思いを明らかにした。
ロシアのウクライナ侵攻が国際物流に及ぼす影響に関しては、ロシアで担っている日産自動車向けの物流業務が影響を受けているが、欧州については現状で直接的な混乱は生じていないと言及。同時に、「今後はアジアや他の欧州のエリアに影響が出てきて、その瞬間はある程度物流が停滞する流れが予想される。予断を許さないと思っている」と警戒感をあらわにした。
髙木氏も「国際物流は全世界で当然、拡大していく予定だが、その中でもアジア地区を中心に、さらに強化していきたい。フォワーディングだけでなく3PLを中心にしていきたい」と語り、長らくグループで中国事業を担当してきた経験を生かしていくことに意欲をのぞかせた。
中谷氏は資本提携を解消したSGホールディングスグループとの協力関係を問われたのに対し「業務提携はどんどん進んでおり、協業した成果は双方に相当な売り上げと利益をもたらしている。協業のボリューム、スピードは変わっていない。今後も重要なビジネスパートナーとしてお付き合いしていきたい」と明言した。
(藤原秀行)