ニューヨーク市の物流施設、待遇改善求める声強く
米アマゾン・ドット・コムで、初めて労働組合が結成されることが決まった。ニューヨーク市のスタテン島にある物流施設で働く人が対象。
今年3月、従業員が労組結成の是非を問う投票に参加。投票を管轄した連邦政府の独立機関・全米労働関係委員会(NLRB)は4月1日、投票総数約4800票のうち賛成が約2600票、反対が約2100票で賛成が500票ほど上回り、労組結成を可決したと発表した。
労組結成を目指してきた団体「アマゾン・レイバー・ユニオン」はホームページで労組結成が決まったことを報告、「ともに新たな歴史を作ろう」と参加を呼び掛けた。
アマゾンは新型コロナウイルスの感染拡大下の“巣ごもり消費”拡大の影響でインターネット通販の利用が増え、業績を伸ばす半面、物流施設のコロナ対策が不十分と不満を募らせた従業員がストを起こすなど、同社への風当たりも強くなっていた。
これまでアマゾンは賃金の引き上げなどで労組結成を押しとどめてきたが、待遇改善を強く求める従業員の声に押し切られた格好だ。
アマゾンは投票結果を受け「われわれは会社と直接関係を持つことが従業員にとって最善だと信じており、投票の結果に失望している」とのコメントを発表。「NLRBが不適切で過度な影響力を行使した」と主張、異議申し立てなどの対応を検討していることを明らかにした。
アマゾンの物流施設では他に、米南部アラバマ州ベッセマーでも労組結成の是非を問う投票を実施中。2021年に初めて従業員が投票を実施した際、いったん反対対数で否決されたが、NLRBはアマゾンが違法に投票へ関与したことを理由に再投票を命じていた。
(藤原秀行)