トレーラーの所在地をクラウドで把握、輸送効率化と整備適正化後押し

トレーラーの所在地をクラウドで把握、輸送効率化と整備適正化後押し

富士通交通・道路データサービスがIoT生かし国内初の実証実験

 富士通子会社で商用車の安全運行支援などを手掛ける富士通交通・道路データサービス(FTRD、東京)は1月21日、通信機能付きのデジタルタコグラフやスマートフォンなどの機器を駆使し、国内で初めてトレーラーの所在地をクラウドベースで管理する新サービスの実証実験を北海道で行うと発表した。

 トレーラーが走行した経路や距離をシステム上で運行管理者や整備責任者が一元的に把握できるようにし、輸送の効率化と適切なタイミングでの整備を後押しするのが狙い。トレーラー輸送が盛んな北海道でまず有効性を試し、早期の実用化に弾みを付けたいとの思惑もある。

 FTRDなどによれば、これまで運行記録が把握できるのは個々のトレーラーヘッドに限られていたため、トレーラーの部分は切り替えられてしまうとその後どれだけ走行したのかといった重要な情報がつかめず、特定の地域に偏って使われる非効率も見られた。IoT(モノのインターネット)を生かし、そうしたボトルネックを解消することを想定している。

 FTRDはトラックドライバー不足を受け、トレーラーを活用した「中継輸送」が今後活発に行われるようになるとみており、「トラブルを防ぐためには適正な整備を図ることが重要」と新サービスの意義を説明している。

将来はRORO船やフェリー経由の輸送も検証対象に

 同日から3月末までの約2カ月間、地場運送会社の幸楽輸送(札幌市)の協力を得て、トレーラー約70台に富士通製のビーコン(電波受発信器)を設置。トランストロン(横浜市)製の通信機能付きデジタコなどと組み合わせ、位置や走行距離を自動的に収集する。併せて、運行の前後にドライバーが整備情報を入力、関係者がクラウドのシステムで情報を共有する。


サービスの概要(FTRD提供)※クリックで拡大

 FTRDなどは今後RORO船やフェリーを経由した輸送でも情報を収集できるかどうかを検証するほか、同じく荷台部分を切り離すことが可能な「スワップボディ車」についても同様の実験を行いたい考えだ。


実証実験の範囲と今後検討している展開の内容(FTRD提供)※クリックで拡大

 地域物流やロジスティクスシステムなどを専門とし、今回の実証実験でオブザーバーを務める北海商科大の相浦宣徳教授は「新サービスはこれまでにない高度な管理を可能にする強力なツールとなり得る。トレーラーを使用した輸送が主な北海道においては、特に高い効果が期待できる」とコメントしている。

(藤原秀行)

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