薬剤入りボトルやバッグなどにタグ埋め込み、外箱開けずに情報管理可能
サトーヘルスケア、朝日印刷、大成化工、藤森工業、マイクロ・テクニカ、UACJ、UACJ製箔の7社は5月18日、医薬品を効率的に管理できるシステムの確立を目指すコンソーシアム「Tag 4 Link」 の取り組みの一環として、RFIDタグを活用し、医薬品のIDや入出荷の履歴などを製薬メーカーから卸業者、病院や調剤薬局までサプライチェーン全体でトレース(追跡)できるデモシステムを構築したと発表した。
Tag 4 Linkは2019年設立。新たなデモシステムは、サプライチェーンの関係者がそれぞれの現場で試用できるようにしている。
医薬品を取り巻くサプライチェーンは人手不足の中でも業務を正確に遂行し、患者に安心・安全な医療を提供するため、医薬品の入出荷情報を製造の段階から管理できるトレーサビリティの確保や、在庫管理など関連業務の省力化が求められている。
開発したデモシステムは医薬品の製造時に、薬剤を入れるボトルや薬液バッグ、錠剤シートなどにRFIDタグを埋め込み、その入出荷のデータをブロックチェーンで管理することで、医薬品のトレーサビリティや偽造品のチェックを可能にするのが特徴。
医薬品の種類、数量、ID、使用期限、入出荷時間、サプライチェーン内でどこに存在するかなどの情報を、製薬メーカーから病院・薬局までの間の各現場で、RFIDを使って読み込み・書き込みし、一貫したデータとして管理。RFIDリーダーを使うため、配送時の外箱を開けなくても情報の一括読み取りと書き込みができるため、入出荷業務を正確化・省力化する。
将来は錠剤シートの開封検知機能と連携し、患者までを含めたトレーサビリティに拡張することを検討している。
今回のデモシステムは5月26日からオンラインで開催される公益社団法人日本薬剤学会の「第37年会」で発表する予定。
デモシステムの流れ
① <製薬メーカーでの出荷>製造されたボトルや薬液バッグ、錠剤シートなどの医薬品の出荷時に、タグ情報をRFIDリーダーで一括読み取りし、出荷数や出荷先などをエッジサーバに登録。エッジサーバでは、医薬品の入出荷の履歴を個品単位で管理する。
② <卸業者での入荷>製薬メーカーから受け取った医薬品を未開封の状態でRFIDリーダーを使って一括読み取りし、入荷情報をエッジサーバに登録。
③ <卸業者での出荷>出荷する医薬品を梱包した後、タグ情報をRFIDリーダーで一括読み取りし、出荷数や出荷先などをエッジサーバに登録。
④ <病院・薬局での入荷>卸業者から受け取った医薬品を未開封の状態でRFIDリーダーを使って一括読み取りし、入荷情報をエッジサーバに登録。
⑤ <病院・薬局での出荷>患者に渡す医薬品のタグ情報をRFIDリーダーで読み取り、出荷数や患者に渡したことをエッジサーバに登録。
⑥ 上記の各工程で、医薬品に偽造品が紛れていないかのチェックが可能。偽造品の疑いがある場合には、エッジサーバの画面にその結果を表示。
システム構成図
タグ貼付のイメージ(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)