熱中症対策ツールを倉庫作業員やトラックドライバーにも活用へ
クラボウが現場作業員の体調をリモート管理するシャツ型のウエアラブルシステム「Smartfit(スマートフィット)」を物流業界向けにも拡販しようと取り組んでいる。1月16~18日にかけて東京ビッグサイト(東京・有明)で開催された「第5回ウェアラブルEXPO」(主催・リード エグジビジョン ジャパン)で専用ブースを設け、システム概要や現在の導入実績などを公開した。
同システムは熱中症の予防・対策ツールとして大阪大、信州大、日本気象協会、KDDI、セック、ユニオン ツールとの産学協同で研究開発を行い昨年より本格販売を開始した。これまで建設業、製造業を中心に数多く導入されており、物流業界向けにも複数採用されているという。
「Smartfit(スマートフィット)」の展示ブース
体にフィットするコンプレッションタイプのシャツに心拍数などの生体情報を記録するセンサーを取り付け、収集されるデータを作業現場地域の気象情報などと組み合わせた独自のアルゴリズムによって解析・評価。真夏など暑熱環境下での作業リスク、体調変化、転倒・転落などのリスク情報を、管理者と作業者へスマートフォンなどの通信デバイスを通じてリアルタイムで通知する。
各現場・各グループに1人でも着用者がいればおおよその暑熱作業リスクを算出・把握することができるほか、学習機能によってそれぞれの作業者に最適化されたリスク・体調管理を行える点が特徴だ。ユーザーはウエアのみを購入し、同社がセンサーやデータ解析などをテクニカルサービスとして有償提供する。
とりわけ活用できる分野として炎天下での業務が多い建設業や警備業、屋内の工場・倉庫など範囲が限定された空間での作業が中心の製造業と物流業を挙げる。物流業向けでは倉庫内作業員だけでなくトラックドライバーの遠隔体調管理にも使用されているという。
同社幹部はロジビズ・オンラインの取材に対して「従業員の体調・健康管理を充実させることは、“安全な職場”“人に優しい会社”など企業の信頼性やイメージの向上にもつながる。人手不足の問題が全産業で深刻化する中、健康管理の体制整備は採用活動などでアドバンテージになっていくだろう」と有用性を説く。
今後の展開について同社技術開発担当者は「より着やすい素材やタイプなどラインアップを増やしていくほか、新たな企業や大学などからプロジェクトへの参画意向を受けている。引き続きパートナーと連携して技術、サービスのブラッシュアップに努めたい」との考えを示した。
(鳥羽俊一)