国内外から集まった精鋭たちが交流、多彩な食文化にも配慮
物流に関わりのある様々な企業や人たちが新型コロナウイルス感染防止へ入念に取り組むことを大原則としつつ、食事にどんなこだわりを持ち、いかに日々の仕事を頑張る糧にしているかに焦点を当て、紹介するロジビズ・オンラインの独自企画、2年9カ月ぶりに復活!
久方ぶりの第2回は、物流施設内のピッキング作業を支援するAMR(自律移動ロボット)などの開発を手掛けているラピュタロボティクスにスポットを当てる。なお、NHK人気番組「サラメシ」も、従来以上に全力でリスペクトする所存です!
ラピュタロボティクスは国内外からプロフェッショナルたちが多数集まっているため、多様な食文化や価値観に配慮したメニューを社員食堂で提供。社員同士が和食をメーンとしたランチを楽しみながら、自由にコミュニケーションし合える場にしようと工夫を凝らしている。実際に現地を訪れてみて、食堂という場が、企業が成長を果たす上で大きな意味を持つことを象徴していると感じた。
マダム・ジーナのレストランのように
ラピュタロボティクスはドイツ生まれの天才物理学者アルベルト・アインシュタインをはじめ、数々の著名研究者を輩出しているスイスのチューリッヒ工科大学(ETH Zürich)発のベンチャー企業だ。「ロボットを便利で身近に」(Making robotics attainable and useful for anyone)をビジョンに掲げ、最先端の制御技術とAI技術を駆使した次世代のクラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」を開発。併せて、同プラットフォームを生かし、ピッキング作業を効率化する「ラピュタPA-AMR」を複数台、物流施設内で運用するソリューションも提供している。
ロボットソリューションの利用が順調に拡大しているのを受け、東京都江東区木場で6月、新たなオフィス「木場オフィス」をオープンした。その中に設けているのが、無料の社員食堂「Gina’s Lounge(ジーナズ・ラウンジ)」だ。6月28日、新オフィスの内部をロジビズ・オンラインなどのメディアに公開した。
社名に含まれる「ラピュタ」と、社員食堂の「ジーナ」から、ピンと来た人もいるだろう。その通り、スタジオジブリが制作した名作アニメ映画「紅の豚」に登場する女性のマダムジーナによる作品中のワンシーンをイメージして名付けたという。
彼女が営んでいたレストランは、世界中からパイロットが集まり、食を通して活発にコミュニケーションが行われていた。そこで同じように、約20カ国から異なるバックグラウンドと多様な才能を持って集まった社員100人以上が積極的に語らい、イノベーションが創出される場所にしたいとの思いを込めている。
社員食堂内に掲げられた「Gina’s Lounge」のロゴマーク
食堂の内部
社員食堂を訪れてまず気付くのが、執務エリアとの間にさえぎるものが何もないことだ。パーティションなどは一切置かれておらず、仕事の合間に社員が自由に訪れることが可能。そして、社員食堂があるオフィスビルの11階フロアの窓から近隣の公園をはじめ、東京の街を一望できることもリラックスして食事できる環境づくりに一役買っている。
執務エリアと“地続き”で気軽に立ち寄れる
社員食堂がオープンしているのは昼時のみ。ケータリングの事業者に調理した食事を毎日、持ってきてもらっている。日替わりのランチメニューは和食を中心に組み立てており、全ての社員が問題なく気軽に食堂へ集まり、会話を楽しみながら過ごせるよう努めている。
和食を軸にしているのは、日本以外の国の出身社員に、日本食の魅力を知るきっかけを作り、食生活を健康的にしてもらいたいとの運営スタッフの願いも込められている。メニュー表を見ると「さわらの甘酢あんかけ」などが並び、ベジタリアン向けに、大豆から作った肉を使った「ゼロミート唐揚げ」もサーブするなど抜群の気遣いだ。
お昼時は行列
掲げられたメニューに目を惹かれる
執務スペースの一角だけに、内装も実にシンプル。しかし、窓際にはコンセントを使えるテーブルも配備、仕事しながら短時間で食事を済ませたいとのニーズにも応えている。取材した日は、ちょうどラピュタロボティクスを創業したモーハナラージャー・ガジャン代表取締役CEO(最高経営責任者)も多数の社員と話しながらランチを取っていた。その姿は「リラックスした日常」そのものだった。
窓際にはコンセント席も
ガジャンCEO(中央)も一緒に食事
ラピュタロボティクスはEmpathy(エンパシー:相手のことを思いやり、ニーズや感情を汲み取る努力を惜しまない)やOpenness(オープンネス:透明性を徹底し「みんな」で最高のものを創りたい)など事業の意思決定の際に重視する6つの「コア・バリュー」を掲げる。社員食堂は一見シンプルながら、まさにそうしたコア・バリューを体現しようとする同社の姿勢を物語っている深い存在のように見えた。
取材を終えて、あらためて感じた。「社員食堂は面白い!」。ロジメシ企画はこれからも続けます!
窓からはスカイツリーも望める
(藤原秀行)