ペーパーレスで1カ月当たり25時間の削減実現
工場や店舗などの現場作業効率化とペーパーレス化をノーコードで実現できるソフトウエア「カミナシ」を手掛けるスタートアップのカミナシは8月30日、電線製造機械メーカーのキンレイ(岩手県奥州市)が、ソフトウエアのカミナシを導入したと発表した。
作業イメージ(カミナシ提供)
キンレイは日本に加え、ドイツやフランス、東南アジア、メキシコなど世界20カ国に製品を提供。細線・巻線用の撚り線機で世界ナンバーワンのシェアを持つ。同社は工場内のフォークリフトやクレーンなどの設備点検記録の効率化が課題となっており、紙帳票を電子化し、業務効率化からスマートファクトリーの足掛かりを築くため、カミナシを活用することにした。
キンレイでは、これまでフォークリフトやクレーンなど設備の使用前点検を紙帳票で記録していた。工場内の約15人の社員が設備点検を行い、点検完了後は管理者に承認を得てから作業を開始するため、始業前の点検時には管理者の前に承認待ちの行列ができ、非効率の解消が求められていた。
この作業過程をカミナシに移行することで、承認待ちの時間を解消。1人当たり5分ほど、工場全体では1カ月当たり25時間を削減できた。さらに、管理者も承認するために事務所に待機する必要がなくなり、承認印を押印する時間に加え、記録帳票の印刷・回収・保管など1日の作業時間を約1時間短縮できたという。
また、これまで紙帳票における定期点検の実施は、担当者や管理者が自らスケジュールを決めて実施しなければならなかった。カミナシのスケジュール機能を活用し、3カ月ごとの定期点検も漏れなく実施できる体制を実現した。併せて、記録時には点検箇所をタブレットで撮影することで、紙帳票よりも正確な記録を行えるようになり、工場内のトレーサビリティの構築も期待できる状況という。
キンレイは設備点検記録のデジタル化を皮切りに、今後は製品の出荷前点検など、現在も紙帳票で運用されている業務まで活用範囲を広げ、スマートファクトリー化に踏み切ることを目指している。
(藤原秀行)