米C&Wリポート、名古屋エリアは大量供給でも「吸収されていく可能性高い」
米不動産総合サービス大手クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は8月30日、日本の物流市況に関する最新リポートを公表した。
新型コロナウイルス感染症に対する中国の厳格な行動規制が世界的なサプライチェーンの根詰まりの解消を2023年以降まで先送りさせてしまう可能性が高いと展望。円安や石油価格高騰などが響き、企業収益の悪化が見込まれているため、「消費者需要のリバウンド増も企業需要の低迷により相殺され、少なくとも2023年上半期までは物流量全体は横ばいで推移する」と予想した。
同時に、1人当たりで見た場合、日本の先進的物流施設のストックはまだまだ少なく、より多くの消費者がより広範な商品カテゴリーでオンラインショッピングに移行する中、「将来の大型マルチテナント施設(LMT)の需要も下支えされていく」との見通しを示した。
供給面については、名古屋エリアの動向に着目。人口1人当たりで見た場合、名古屋市の先進的物流施設ストックの規模は極めて小さく、の先進的物流施設の全体に占める比率は東京(15%)、大阪(8.6%)を下回る6%未満にとどまっていることに言及した。さらに、22年上半期の動きを見た場合、名古屋は既存ストックの87%に相当する約31万200平方メートル超と過去最大規模の供給がなされたと強調した。
名古屋と神戸を結ぶ新名神高速道路の全面開通により、今後2年間で8棟、合計約52万4000平方メートルの竣工が見込まれていることに触れ、大量供給の影響で、今後2年間で空室率が15%前後まで上昇する可能性もあるものの「24年以降まで見れば、大手EC事業者のテナント需要などにいずれ吸収されていく可能性が高い」と分析した。
(藤原秀行)※いずれもC&W提供