再発防止へ是正命令も
国土交通省は9月9日、エンジンの排出ガスや燃費の性能に関する認証で不正行為を行った日野自動車に対し、認証の基準不適合が確認されたエンジンについて、道路運送車両法に基づき、大量生産に必要な型式指定の取り消しに向けた手続きを開始すると発表した。
基準適合が確認されたエンジンは出荷再開を認める。国交省は同時に、法令違反につながる不正行為を約20年にわたって続けていた同社の体制について、同様の行為の再発を防ぐため、同法に則り、企業体制の抜本的な改革を求める是正命令を出した。
国交省が同社に立り入り検査を実施した結果、排出ガス性能が基準に満たないと確認されたエンジン(トラック・バス用エンジン1機種、建設機械等用エンジン3機種)について、型式指定を取り消す方針を固めた。一方、排出ガス性能が基準に適合していると確認できたエンジン(トラック・バス用エンジン3機種、建設機械等用エンジン4機種)は出荷再開を認める。
相次ぎ不正行為が発覚したことを受け、国交省は是正命令の中で①不正行為を起こし得ない型式指定申請体制の構築(社内チェック体制の強化)②開発部門の業務実施体制の改善 (コンプライアンス強化・開発体制の見直し)③社内の技術管理体制の再構築(組織風土の抜本的改革・ガバナンス強化)――について、再発防止策を1カ月以内に報告するとともに、その後の実施状況も当面、四半期ごとに報告するよう指示した。
日野自動車は同日、「本是正命令を真摯に受け止め、命令内容を踏まえた抜本的な再発防止策を策定し実行するとともに、継続的に改善および強化を図り、二度と不正を起こさない企業風土ならびにガバナンスの確立に覚悟を持って取り組んでまいります」とのコメントを出した。
日野の親会社、トヨタ自動車も同日、「日野がステークホルダーの皆様の信頼に足る企業として生まれ変われるのか、見守ってまいります。また、日野から依頼を受けている、小型トラック用エンジンの認証業務での協力など、支援可能な領域や業務を通じて、協力やサポートを行ってまいります」とのコメントを発表した。
(藤原秀行)