WTOの世界貿易量予想、23年は2.4ポイントと大幅下方修正し1.0%増

WTOの世界貿易量予想、23年は2.4ポイントと大幅下方修正し1.0%増

ロシアへの経済制裁やエネルギー・食料価格上昇、米国利上げなど影響と分析

世界貿易機関(WTO)は10月5日、世界の貿易動向に関する調査結果を取りまとめた。

物の貿易量は2022年が前年比で3.5%、23年が1.0%それぞれ増えると予測。今年4月時点の見通しから22年は0.5ポイント引き上げた一方、23年は2.4ポイントと大幅に引き下げた。

ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁やエネルギー・食料価格の上昇、米国の利上げによる消費や住宅需要の減速などが響き、23年にブレーキがかかるとみている。23年の伸び率については、経済環境の悪化でマイナス2.8%まで下振れる恐れがある一方、状況が好転すれば4.6%まで回復する可能性があると分析している。

物価変動の影響を除いた実質ベースの経済成長率は22年が2.8%、23年が2.3%と想定。成長の鈍化を懸念している。

WTOのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ事務局長は「(各国の)政策立案者はインフレ対応、完全雇用の維持、クリーンエネルギーへの移行などの重要な政策目標推進の間で最適なバランスを見つけるという課題に直面している」と解説。同時に、貿易制限を一部の国が検討していることに関しては「インフレ圧力を深めるだけであり、時間の経過とともに経済成長の鈍化と生活水準の低下につながる」と警告した。

主要な国・地域別の物の貿易量予測のうち輸出の伸び率を見ると、北米は22年が3.4%、23年が1.4%で、21年の6.5%から鈍化しているほか、欧州も22年が1.8%、23年が0.8%で21年の7.9%から急ブレーキがかかる。アジアも21年の13.3%から22年は2.9%、23年は1.1%にとどまる。

(藤原秀行)

調査結果はコチラから(WTOホームページ・英文)

経営/業界動向カテゴリの最新記事