ねじの取り付けミス判明、虚偽の報告も
国土交通省は12月23日、整備士が不適切な整備をしていたとして、日本貨物航空(NCA)に対し、航空法に基づき厳重注意した。併せて、必要な再発防止策を検討し、2023年1月16日までに報告するよう指示した。
国交省によると、今年9月、NCAで運航していたボーイング747-8F型機の乗務員から第4エンジンの逆推力装置操作レバーが最大出力位置にならない旨の報告があり、NCAで調査した結果、当該箇所に技術基準より長いねじを装着していたためレバーの内部機構と接触、引き上げるのを妨げていたことが判明した。
その後の調査で、NCAの確認主任者が、当該の逆推力装置とは直接関係のない他の箇所のねじ交換作業をするため取り外したねじをレバーのカバーに装着した上、他の箇所のねじ交換自体を実施していないにもかかわらず、認定作業者に整備記録を作らせていたことが分かった。
NCAは2018年にも不適切な整備作業が発生し、国交省から事業改善命令を受けていた。作業ミスと虚偽報告というコンプライアンス(法令順守)欠如が明らかになり、NCAのこれまでの取り組みに疑問符が付くこととなった。
国交省は航空局安全部長名義で出した厳重注意の文書の中で「技術基準に基づかない部品の装着や、実態のない作業について整備記録を作成させるような対応をするといった一連の行為は、安全運航の確保に係る基本的な認識が不十分なものであり、誠に遺憾」と批判。
NCAに対し「平成30 年(2018年)に不適切な整備作業が発生し、事業改善命令等の処分を受け、是正措置の取り組みを実施してきたにもかかわらず本事態を発生させたことは、社員に対する安全意識の徹底、コンプライアンス教育の実施及びその遵守の意識付けが未だ不足しており、社内安全管理体制が不十分であったと言わざるを得ない」と指弾した。
NCAは厳重注意処分を受け「関係者の皆様には多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを深くおわび申し上げます。国土交通省の指導を真摯に受け止め、改めて全社員に対する安全意識の徹底、コンプライアンス教育の実施及びその遵守の意識付けを行うと共に、整備作業に関しては、同事案を再発させない仕組みを構築いたします」とコメントしている。
(藤原秀行)