JLL7~9月調査、建築コスト影響し今後もアップと展望
ジョーンズ ラング ラサール(JLL)が12月23日発表した2022年第3四半期(7~9月)の東京圏における大型物流施設市場動向の調査結果によると、賃貸施設の期末平均空室率は5.0%で、前期(22年4~6月)から1.0ポイント上がった。前年同期比でも2.4ポイント上昇した。
前期から空室率が上昇したのは3四半期連続。長らく継続している圏内の大量供給傾向が影響したとみられる。
エリア別では、東京ベイエリアが前期から0.3ポイント上がって4.6%、内陸エリアも1.3ポイント上がって5.2%だった。
7~9月の新規供給量は7棟、71万㎡で、ストックは前期比4%、前年同期比で18%拡大した。ネットアブゾープション(吸収需要)は51万2000㎡。22年第1~3四半期の累計では135万4000㎡に達した。
JLLは空室率上昇があったものの「3PL事業者やオンライン小売業などによる旺盛な需要が持続した」との基本的な見解を維持した。
期末の坪当たり平均月額賃料(共益費含む)は4533円で、前期から0.9%、前年同期から3.0%それぞれ上昇した。前期比で8四半期続けてアップした。JLLは「既存物件の賃料上昇と新規供給の高い賃料水準が上昇を牽引した」と分析している。
今後の賃貸物流施設市場に関しては「賃料水準が比較的低いサブマーケットでの新規供給による賃料下押し圧力があるものの、建築コストの高騰による賃料上昇圧力がそれを上回ると予測され、平均賃料は上昇する見通し」との見方を示した。
(いずれもJLL資料より引用)
調査は東京、神奈川、千葉、埼玉の各都道府県と茨城県の南西部が対象。2000年以降に完成した延べ床面積5万平方メートル以上の先進的物流施設の稼働状況を集計した。
ロジスティクス(物流施設)への投資総額は前年同期比93.5%減の55億円だった。
(藤原秀行)