物流関連主要団体・企業の2023年頭所感・あいさつ その1(抜粋)
「標準化・デジタル化へ官民や他産業との連携を一層強化」
日本物流団体連合会(物流連)・池田潤一郎会長(商船三井会長)
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によりサプライチェーンの在り方や、物流の姿そのものが変わりつつあります。物流の担い手が減少する中で、運転や荷役の自動化への取り組みや、輸送の効率化に向けた「共通基盤の構築」、感染を防止するための非接触による受け渡しなど、様々な取り組みを並行して進めていく必要があります。そしてこれらを可能とする前提は、「物流標準化」と「デジタル化」の推進です。物流業界を超え、官民連携、他産業との連携を一層強化しながら推進していく所存です。
「Jリートのさらなる浸透図り、国民の資産形成を力強く後押し」
不動産証券化協会・杉山博孝会長(三菱地所会長)
昨年12月に当協会は設立20周年を迎え、これを機に、「MISSION・VISION・VALUES」から成る理念体系を新たに策定いたしました。理念体系の頂点にある「MISSION」では「不動産投資を人と社会の未来のために」をスローガンに掲げ、不動産投資・証券化市場の健全な発展を通じて、国民の資産形成と暮らしや経済を支える多様で良質な不動産ストックの形成拡大・維持更新に貢献することをうたっています。
この新たな理念体系の下、2024年からスタートする新たなNISA(少額投資非課税制度)も活用しながら、Jリートのさらなる浸透を図り、国民の資産形成を力強く後押しするとともに、サステナブルな社会の実現に向けて尽力してまいります。
「ワクワクできるような変化と取り組みの機会を自ら見つけてほしい」
センコーグループホールディングス・福田泰久社長
グループ経営にとって最も大事な資産は言うまでもなく人材です。そのため中期経営計画においても、従業員が自分らしく、ワクワク働ける職場を実現し、働き甲斐と個人の成長の実現を図る方針を掲げました。
この方針の実現のためには、コミュニケーションが大切だと考えています。例えば、同僚や関係先との積極的なミーティングの中で、自身の考えを整理し、知見を広げることで成長が図れるでしょう。また、様々な文化・スポーツ活動への参加や部活動の応援などを通じて、コミュニケーションをさらに深めてほしいと思います。
さらに中計目標達成に向けて意識してほしいのは、環境の変化にどのように対応するか、自身が常に考えて行動するということです。日本国内は少子化などによる市場の縮小で、物流や商流の長期的な減少は避けられませんが、世界規模では人口は右肩上がりで増え、国内でもインバウンドやECの拡大、健康への関心の高まりなど、ビジネスチャンスの芽はたくさん溢れています。
日々最前線で業務に当たる皆さんも、そのような目を持てば、必ず自らの業務に関して変化の芽に気づくはずです。それをどのようにつかみ、取り入れて、行動に移すか、ここに仕事の面白さがあると思います。今年一年、ワクワクできるような変化と取り組みの機会を自ら見つけ、実現に向けたチャレンジをお願いします。
「明るい社風こそが多くのビジネスチャンスにつながる」
郵船ロジスティクス・神山亨社長
サステナビリティの実現は、あらゆる企業が果たすべき義務であり、解決すべき社会課題です。私たちの約束“Create Better Connections“を軸に、社会課題解決に向けてさまざまな企業の架け橋となり協働することで、ステークホルダーならびに当社グループのサステナビリティの実現に向けて力を尽くしていきましょう。
従業員の皆さんは大きな成⾧を遂げる郵船ロジスティクスの原動力であり、最大の資産です。郵船ロジスティクスは、従業員の皆さんと共に成⾧します。皆さんが、郵船ロジスティクスで何にチャレンジしたいのか、何を叶えたいか、共に語る、考える一年にしたいと思っています。
そして、積極的なコミュニケーションを通じて信頼関係をより強くしていきましょう。郵船ロジスティクスは多様な意見を歓迎します。建設的で自由闊達な意見交換により、皆さん一人ひとりの良さを最大限に発揮し、風通しの良い、一体感のある組織を作っていきましょう。この明るい社風こそが、郵船ロジスティクスを支える基盤となり、多くのビジネスチャンスにつながると信じています。
「物流業界の『トップティア』目指し思う存分飛び跳ねよう」
SBSホールディングス・鎌田正彦社長
グループ挙げての営業施策として「EC1000プロジェクト」を発足させました。これはECの将来の発展を鑑み、2030年までに1000億円のEC物流を取り込むというものです。昨年12月に開設した埼玉・越谷のLTラボで様々なロボットを試しながら、システム、撮影、採寸、運用など、最先端技術でEC物流に必要なメニューを完成させます。
2024年に千葉で竣工する野田瀬戸物流センターを手始めに、ロボットが縦横無尽に動き回るEC物流センターを稼働させて、見学に来られるお客様に感動していただこうと思います。俳優の長谷川博己さんを起用した「EC物流お任せくん」のCMも完成し、テレビ、タクシー広告、YouTubeなどで拡散させてお客様からの問い合わせが増えることを期待しています。
2023年は円安、原油高、光熱費高騰、海外のインフレ傾向と、当社にとって厳しい年になりそうです。また、投資家の皆様からはESG経営の一層の強化を求められています。どのような時代が来ようと、私たちは社会に適応し、変化に対応し、進化し続けなければなりません。売上高5000億円までもうひと頑張りです。今年はうさぎ年に因み「跳(飛び跳ねる)」がキーワードです。物流企業のトップティアを目指して思う存分飛び跳ね、“For Your Dreams”の下、夢に向かって邁進しましょう。
「グループでWell-being実現へ邁進する」
鈴与・鈴木健一郎社長
世界的な人手不足の中、いかに人を惹きつける会社になれるか否かが勝敗を分ける時代だ。鈴与グループにおけるWell-beingの実現を目指し邁進する。Well-beingは、鈴与グループの経営の拠り所である「共生(ともいき)」の精神そのもの。働きやすさ、働きがいをより感じることができるように制度面の充実や仕組みの整備、そして企業文化の醸成に取り組む。
未来に向けて持続的成長を果たすために、中期経営計画を着実に進め、稼ぐ力(収益力)を高めていく。そしてWell-being実現の一部でもある賃上げについても昨年に引く続き取り組んでいく。
「ルールの遵守なくして企業の成長なし」
大和ハウス工業・芳井敬一社長
2023 年の年頭に当たり、皆さんにお伝えしたいことが三点あります。
一つ目は、 “将来の夢”です。昨年5月、企業のあるべき姿として、大和ハウスグループのパーパスである “将来の夢”―「生きる歓びを、未来の景色に。」を策定しました。これは「2055年に私たちが創り出したい社会」と「大和ハウスグループの果たすべき役割」を示しています。当社は創業以来3000万人以上のお客様と出会ってきましたが、このお客様とともに生きる歓びを分かち合える世界を実現できるよう、しっかり理解し、自ら実践してください。
二つ目は、「旅」です。私は時間を見つけては、自分で全てを手配して一人旅に出かけていますが、旅での経験は新たな発見や気づき、そして出会いを与えてくれます。当社グループにおいても第7次中期経営計画という5年間の旅路が始まりました。各事業本部や事業所、そして皆さん個人が目標を立て、その達成に向けて努力されていますが、その中で経験する様々な出来事は、必ず自分たちの成長へとつながります。この経験を糧として日々業務に邁進してください。
三つ目は、私の今年の一文字「遵」です。改めて襟を正す一年にしたいと思います。当社では近年、コンプライアンス強化に努めており、皆さんにも様々な取り組みを実施いただいていますが、まだ不十分な点も見受けられます。ルールの遵守なくして企業の成長はありません。法令や会社の規則はもちろん、お客様との約束など、あらゆる決めごとを遵守してください。
最後に、当社を取り巻く事業環境は変化を続けており、年々そのスピードを増しています。しかし、当社において変わらないものは創業の原点である「社会の役に立つ事業の展開」です。この創業者精神を行動の規範とし、皆さんのさらなる飛躍の一年となることを期待しています。
(藤原秀行)