リモートID送信・受信装置を有効活用、複数機で長時間活躍可能に
イームズロボティクス(福島県南相馬市)は1月20日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト/研究開発項目「性能評価手法の開発」 内の「ドローンの1対多運航を実現する機体・システムの要素技術開発」に関し、「リモートIDを利用したドローンの1対多運航制御システム及び要素技術開発」助成事業で採択されたと発表した。
プロジェクトは1人の操縦者が複数機体を運用できる体制を構築することで、ドローンの有効活用促進とコストダウンを目指す。ドローンの弱点だった飛行時間の短さも、複数機体が順番に飛行することで活躍する時間を伸ばすことが可能になると見込む。
複数機体間の通信には、2022年6月20日以降に販売される機体を対象に、搭載が義務化されたリモートIDを使用。これまでは自己位置情報を発信するだけに使われていたリモートID送信機に、新たに受信機能と測距機能を持たせ、ドローン間で衝突回避しながら、様々な用途で活用できるようにすることを念頭に置いている。
リモートID情報を応用することで、飛行中の複数のドローンをクラウドにより一元管理する
受信機能と測距機能を新たに追加
RID(リクエストID)情報を相互受信することで、群制御(衝突回避等)に役立てられると期待されている
イームズロボティクス製リモートID送信機は他メーカードローンにも搭載可能
イームズロボティクス製のリモートID送信機の通信距離は最大で3500m。920MhzLoRaを使った通信で約10㎞までの機体間通信が可能。リモートIDと920MHzLoRAによる自律的な群制御技術を実現することで、人間社会の中でより安心・安全に無人航空機を運用することにつながるとみている。
プロジェクトで使用する機体は、22年12月施行の改正航空法でスタートした機体認証制度に適合し、型式認証二種、一種の取得を目指し、第三者上空を飛行できる「レベル4」も同時に実施。助成事業は25年3月までの3年間で、最終的な目標は撮影、点検、警備や、中山間地などの目視外飛行を含む物流定期便の運航、災害対応で1対多運航の実装に照準を合わせている。
型式認証取得予定の新型ドローン(E6150)
委託先には、アルプスアルパイン、産業技術総合研究所が選ばれている。
リモートID送信機は通販サイトなどで販売中
業務用受信機の販売も実施(ソフトウェアはサブスク)
(藤原秀行)※写真などはイームズロボティクス提供