GDPに対応、厳格な温度管理後押し目指す
メディパルホールディングスと三菱倉庫は1月26日、両社のノウハウを活用し、医療用医薬品のサプライチェーンの可視化を目的とした実証実験を行うと発表した。
近年、医薬品の流通は2018年12月に医薬品の適正な流通に関するGDPガイドラインが出され、製薬企業の工場から医療機関に届くまでの流通経路における高いレベルでの管理が強く求められるようになっている。特に温度管理は全過程でモニタリングし、品質を担保する必要がある。
ニーズに対応するため、三菱倉庫はGDPガイドラインに準拠した医薬品保冷配送サービス「DP-Cool」を2015年から展開。また、「DP-Cool」のノウハウを基に、室温品を対象としたGDP対応の輸送サービス「DP-Green」を構築し、多くの製薬企業が利用している。
メディパルは19年4月、GDP対応に特化した組織を設置し、ALC(医療用医薬品や医療材料、臨床検査試薬などを扱う高機能
物流センター、Area Logistics Center)を中心に各製薬企業の監査基準をクリアする質の高い流通体制を構築。さらには、2027年3月期を最終年度とする「2027メディパル中期ビジョン Change the 卸Forever ~たゆまぬ変革を~」において、成長戦略の一つとして「持続可能な流通の構築」を掲げ、医薬品の品質情報を一元管理するトレーサビリティの完全化を目指している。
実証実験では、両社の持つ機能を融合させ、医薬品のサプライチェーン全体で温度情報の可視化を実現するための円滑な流通体制の構築に向け、検証を進める。医薬品卸から医療機関まで、厳格な温度管理が必要な保冷医薬品の温度情報を可視化し、三菱倉庫が構築した製薬企業から医薬品卸までのデータプラットフォーム「ML Chain」との連携を目指す。
メディパルは、厳格な温度管理が求められる保冷医薬品の配送では温度ロガーを付けた特殊な保冷箱を使用している。実証実験では保冷箱に取り付けた温度ロガーを通じて取得する配送時の温度情報を「ML Chain」に送信する仕組みを確立する予定。
(藤原秀行)