【動画】日本初、ドローン10機が同じ空域で一度に飛行

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NEDOなど、衝突回避の運航管理システム実証成功

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とNEC、NTTデータ、楽天などは3月1日、福島県南相馬市の先端技術実験用施設「福島ロボットテストフィールド」で、複数のドローン(小型無人機)が同一空域で衝突せず飛行するための運航管理システムに関する実証実験を行った。

実験は2017年にNEDOと県が締結したロボット・ドローンの実証などに関する協力協定に基づき実施。県や市の協力の下、日立製作所やNTTドコモ、KDDI、ゼンリン、日本気象協会も参加した。

10機のドローンが同施設上空の約5万4000平方メートルで、災害調査、警備、物流、郵便の4つの目的でそれぞれ一度にドローンを飛行。システムが速度や位置などを一元的に把握し、約15分間のフライトを無事に終えた。


楽天の物流用ドローン


複数のドローンが上空を飛び交う※クリックで拡大

21年度末までに実用化の道筋

システムは各機体の飛ぶ経路や離発着の場所が重複しないよう自動的に調整する「運航管理統合」、各事業者が安全かつ効率的にドローンを飛ばせるよう飛行計画立案支援などを手掛ける「運航管理」、空域の3次元地図や気象情報などを把握する「情報提供」の3機能で構成。実験の結果、それぞれの機能が正常に作動していることを確認した。


システムの飛行状況管理画面(NEDO提供)※クリックで拡大


実験当日のドローン飛行管理センター(NEDO提供)※クリックで拡大

ドローンはNTTドコモが災害調査、KDDIがスタジアムやイベント会場などの警備、楽天が物流、日立が郵便の用途をそれぞれ想定して飛ばした。災害調査はカメラで状況をリアルタイムに調査。警備は上空から俯瞰する2台と巡回する2台が連携して不審者を早期に発見。

物流は荷物を自動で搬送、郵便は災害時に郵便局から避難所などへ郵便物を運ぶというシーンを見込んでいる。実証実験では異なる用途で違う動きをするドローンが複数飛び交っても衝突せず安全に運航できることを示した。

NEDOなどは19年度以降、実験の成果や課題を評価・検証し、システムの機能をさらに高度化。21年度末までに実用化の道筋を付けることを目指す。システムは今回参加した事業者以外にも幅広く国内外から参加できるよう、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を順次公開し、世界に先駆けてドローンの先進利用を図る。

(藤原秀行)

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