KPMGコンサルティングがグローバル調査結果、人材不足が足かせに
KPMGコンサルティングは1月26日、企業の経営層がどのようにDXを進めようとしているかについて聞いた「KPMGグローバルテクノロジーレポート2022」を公表した。
日本を含む世界15カ国の主要企業経営層2200人以上を対象に実施。日本からは100人が協力した。
業務のDXへの投資が自社の収益性と業績のいずれか、もしくはいずれも向上したと回答した割合がグローバル全体の9割強に達した。また、グローバルと日本のいずれも、今後2年以内にメタバースや量子コンピューティングといった先端技術への投資を計画している向きが過半数に上ったという。
ただ、グローバルと日本のいずれも、DXの重要な役割を担える人材の不足が課題と認識されていることが示された。
KPMGコンサルティングは「市場の混乱や地政学上の緊迫は続いているものの、企業は新たなテクノロジーを受け入れ、新たなツールに投資する方向へと進んでいる」との見解を示している。
クラウドへの移行進む
調査結果によると、新たな技術にどの程度投資を考えているかを尋ねたところ、「2年以内」ではグローバル全体で暗号資産や量子コンピューティング、メタバース、5Gなどが60%を超えた。日本は全体的にグローバルよりも投資すると考えている人の割合が多かった。
業務の中でクラウド利用をどの程度進めているかとの問いに対しては、「クラウドへの移行を完了し、現在は継続的な最適化とモダナイゼーションに注力している」がグローバルで15%、日本は20%、「基幹系業務をクラウドに移行している」がグローバルは73%、日本も68%と高率に達した。
「試験的にクラウド活用に着手しているが、限定的かつ慎重に進めている」はグローバルが9%、日本が10%、「クラウドも選択肢の1つとして検討しているが、主にオンプレミスを使用している」はグローバルが3%、日本が2%。グローバルと日本のいずれもクラウド化へ積極的に取り組んでいることが分かった。
一方、新しいデジタル技術を採用する上で、最も多な課題を聞いたところ、グローバルは「重要な役割(データサイエンティストやエンジニア)を担う人材の不足」が44%でトップ。日本は「新たなシステムの調達や必要な人材を獲得するためのコストの高さ」が41%で最多だった。日本は「変化やイノベーションを受け入れないリスク回避型の企業文化」が34%で、グローバル全体の24%を大きく上回ったのも特徴的だった。
また、サイバーセキュリティ―に対する対応の現状は、「戦略を積極的に進め、進展を続けている」がグローバル42%、日本48%だった一方、「計画やビジョンは策定されているが、スケジュールに遅れが生じている」がグローバル58%、日本52%。対応が二分されていることが浮き彫りとなった。また、人材不足が対策に支障を来していることもうかがわせた。
KPMGコンサルティングは「デジタル成熟企業の7つの特徴」を提示、企業がDXに注力する上で参考にしてもらいたいと説明している。
(いずれもKPMGコンサルティング資料より引用)
(藤原秀行)