船の安全運航や建設・メンテナンスの作業可否判断をサポート
ウェザーニューズは3月7日、脱炭素の潮流が強まっているのに伴い注目されている洋上風力発電設備の建設作業をバックアップするため、洋上風力発電市場向けの海上作業支援サービス「ANEMOI(アネモイ)」の提供を国内外で開始したと発表した。
近年、CO2排出量削減の取り組みとしてグリーンエネルギーの活用が進み、特に海外で洋上風力発電所の建設が進んでいる。発電設備の建設やメンテナンスは海上での作業を強いられるため、安全に進めるためには高精度な波・風の予測データが必要不可欠となる。
ANEMOIは作業船の運航可否および航路選定を支援する「運航可否判断支援」、建設・メンテナンス作業のリスクを可視化した「作業計画支援」のコンテンツで構成。海上の高精度な気象データも1kmメッシュで提供できるのが強み。
洋上風力発電に関わる事業者は、約2週間先までの工程計画の策定や作業可否の判断に活用できるとみている。
2022年3月以降、デンマークの大手電力事業者オーステッド(Ørsted)が、洋上風力発電設備の建設・メンテナンスの作業でANEMOIの先行利用をスタート。ANEMOIが提供している気象データは予測精度が高く評価され、現在は台湾の彰化県沖で建設中の洋上風力発電所(Greater Changhua 1 & 2a)で活用されている。
洋上風力発電市場向け新サービス「ANEMOI」
ウェザーニューズは洋上風力発電市場向けに高精度な独自モデル「EMOTION(エモーション)」を開発。世界中の海上の波・風を1時間ごと・72時間先まで予測できるのが特徴だ。
従来、海上の波・風の予測データの解像度は海外を含め5kmメッシュが一般的だが、より細かな1kmメッシュの解像度で予測できるようにした。建設現場には事業性調査段階から観測機が設置されていることが多く、その過去データや、建設作業中・運用中に観測するリアルタイムのデータを取り込むことでAIによる即時補正を施し、より精度を高めるバージョンアップも予定している。
洋上風力発電向けに独自開発した高精度の予測モデル「EMOTION」
ANEMOIは作業現場のピンポイントな予報をグラフや数値で表示したり、地図へ気象情報を重ね合わせて確認したりすることにも対応する。具体的には、EMOTIONやその他の独自気象予測モデルによる波、風、天気、視程、降水量、気温、湿度、台風、落雷などの情報を最大15日先まで確認できる。
作業計画支援コンテンツリスクレベルを3段階で表示
(緑:影響なし、黄:注意、赤:警戒、―:作業に必要な時間)
ウェザーニューズは21年9月、洋上風力発電支援専門のチームを立ち上げ、創業当初から長年にわたり石油市場などあらゆる海上作業やエネルギー市場を気象面からサポートしてきたノウハウを発揮。洋上風力発電の事業性調査から、建設作業、保守点検・運用までをトータルで後押ししている。1kmメッシュの高解像度で5〜30分単位の風力発電量予測データを提供することも可能という。
(藤原秀行)※写真はいずれもウェザーニューズ提供