メディパルHD、富士通のAIで倉庫内ピッキング作業効率化

メディパルHD、富士通のAIで倉庫内ピッキング作業効率化

実証試験で作業者の移動距離最大22.6%削減

富士通は3月13日、メディパルホールディングス(HD)が物流センター内の作業オーダーの組み合わせと作業順序を最適化する2つのAIアルゴリズム(国際特許出願済)を備えた富士通のクラウドサービス「Picking Optimizer(ピッキングオプティマイザー)」を導入、3月に運用を開始したと発表した。

メディパルは2020年11月、傘下のメディセオの医療用医薬品などを取り扱う高機能物流センター「神奈川ALC(エリア・ロジスティクス・センター)」(横浜市)で、Picking Optimizerを用いたピッキング作業の実証実験を行い、ピッキング作業者の総移動距離を最大22.6%削減するなど有効性が確認できたため、本格的な導入に踏み切った。

メディパルは今後、ピースピッキングシステムを採用している国内8カ所のALCに順次、Picking Optimizerを展開する予定。

メディパルは「医療と健康、美」を支える国内最大級のヘルスケア物流プラットフォームの実現を目指し、物流改革を推進しており、富士通のICTを活用して高機能物流センターの業務効率化を加速させたい考え。


神奈川ALCでのピッキング作業

メディパルは人的作業の効率化と庫内作業の省人化を目的として物流機能の最適化や自動化を推進。2009年に神奈川ALCでEDI(受発注データ電子化)物流対応型の完全得意先別梱包(得意先オーダー別ピッキング)の運用を開始し、その後は各地域で展開している。

23年中の阪神ALC(兵庫県西宮市)の稼働開始により、欠品や間違いのない安全・安心な高機能物流網が全国をカバーする予定。

Picking Optimizerは物流センター内の出荷作業で、1人のピッキング作業者が同時に複数の出荷先への商品をピッキングするマルチオーダーピッキング作業を最適化し、センター内ピッキング作業効率を向上させる富士通のサービス。

富士通独自の2つのAIアルゴリズムを用いた最適化エンジンを搭載。1つはマルチオーダー組み合わせ最適化アルゴリズムにより、同一商品をまとめてピッキング可能とし、作業者がピッキングの際に立ち寄る場所や回数を最小限にする。

もう1つは作業順序最適化アルゴリズムにより、ピッキング作業順序を制御することで物流センター内の集中(渋滞)を回避する。

神奈川ALCで行った実証実験では、ピースピッキングシステムで3000行のデータと28人の作業者で、「①現行システムでの作業」と「②Picking Optimizerを仮導入したピッキングデータでの作業」の2つを比較した。

双方の作業における移動距離の実測値を比較した結果、②は①に対して移動距離を最大22.6%削減することができた。神奈川ALCは管轄エリアの医療機関などに対して、1日平均約7万行の出庫作業を行っており、ピッキングの生産性向上は作業時間の短縮による夜間作業の軽減など働き方改革にも効果的とみている。

メディパルHDは富士通と連携し、他地域のALCでもICTを活用することで、さらなる効率化の早期実現を目指す。富士通はメディパル向けに、今回のPicking Optimizer導入に加え、AI技術を活用した他のサービスによる支援の検討も開始。ロジスティクス領域へのAI活用を促進し、医療・ヘルスケア領域の物流最適化や、社会課題解決、環境負荷軽減に貢献していく計画。

(藤原秀行)※いずれも富士通提供

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