燃料電池活用し1万キロメートル超走行可能に
トヨタ自動車と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月12日、月や火星などを対象とする国際宇宙探査ミッションで協業を検討していくことで合意したと発表した。
第1弾として、月面の探査活動に必要な車「有人与圧ローバ」の開発を目指す。水素で動く燃料電池(FC)の技術を導入し、月面で輸送用エネルギーの確保が限られる中、1万キロメートル以上を走行可能な探査車を実用化したい考え。
開発を目指す探査車のイメージ(トヨタ自動車提供)※クリックで拡大
JAXAの山川宏理事長は「有人与圧ローバは本格的な月面の探査・利用において重要な役割を担う要素であり、わが国の技術力を結集して技術検討に取り組んでいきたい」、トヨタの豊田章男社長は「今回のプロジェクトに求められるのはまさに生きて帰ってくるということだと思う。そうしたプロジェクトに、これまで培ってきたトヨタの車両の『耐久性、走破性』と『FC』という環境技術に期待を寄せていただいていることを大変うれしく思う」との談話をそれぞれ発表した。
開発を目指している探査車は全長6メートル、幅5・2メートル、高さ3・8メートルを想定。マイクロバス2台分ほどの大きさを見込んでいる。居住空間は4畳半ワンルームほどの13立方メートルで、中には2人(緊急時は4人)が滞在できるようにする計画だ。
JAXAは2029~34年に探査車2台で月面を探査することを目指している。
(藤原秀行)