不正請求の影響で業績が急速に悪化
帝国データバンクと東京商工リサーチが3月23日明らかにしたところによると、日本ロジステックの経営破綻の影響を受け、神奈川県相模原市を本拠とするトラック運送事業者のTRAIL(登記上の本社は東京都港区芝公園)が同日、東京地方裁判所に自己破産を申請した。
帝国データと東商リサーチによれば、負債は2022年3月期時点で約54億9900万円。神奈川県のトラック運送事業者としては過去最大の経営破綻になったもよう。
帝国データや東商リサーチなどによると、TRAILは2014年設立。トラック運送のほか倉庫内作業なども手掛け、22年3月期の売上高は192億円余りに上っていた。
TRAILは22年8月に民事再生法の適用を東京地裁に申請、経営破綻した日本ロジステックから、楽天モバイルの携帯電話基地局設備に関する配送業務を請け負い、さらに一部の仕事は複数の下請け事業者に委託していたとみられる。
楽天モバイルの元部長が日本ロジステックの元役員と組み、物流業務に絡んで巨額の不正請求をしていたことが明らかになったため、TRAILも信用低下で経営が急激に悪化し、多額の不良債権が発生。再建の見通しが立たず、ほぼ全ての事業を停止し従業員も解雇していた。
楽天モバイル元部長らの不正事件に絡んでは、TRAILの社長も不正に加担した詐欺の疑いで警視庁に逮捕されている。
また、TRAILは東京国税局から過去3年間で計70億円超の所得隠しを指摘され、重加算税を含めて約30億円を追徴課税されたとみられる。
TRAILから独立した物流事業者のIMAX(神奈川県相模原市)も同じく22年12月、経営不振で自己破産を申請した。
(藤原秀行)